男は野望の為に女を抱き、
女は愛するが為に男を抱く。
進む道は違えど
泥沼の世界から抜け出すために泥沼にはまる大人達。
少年は理想を探す夢を見、
少女は愛を求め夢を見る。
進む道は違えど
暗闇の中で光を探し求める子供達。
子供と大人
その境目はどこにあるのか誰も判らない。
その間にある深い溝には気づいても。
男と女。
向こう岸にいる異性が何を求めるかは誰も判らない。
その間にある深い溝には気づいても。
「・・・以上が新型のダミープラグの成果です。」
「うむ、問題ない。
子供達の方はどうなっている。」
「四人の子供達はもう実戦においても問題ないと思われます。」
「『思われます』?」
「いえ、実戦においてもEVAの力をちゃんと引き出せるかと・・・」
「そうか。
よくやってくれた、赤城博士。いや、リツコと呼ぶべきかな、ここは。」
「司令の・・・いえ、ゲンドウさんの、お好きなように。」
「そうか。
では後のことは今夜私の部屋で。」
「はい・・・。では失礼します。」
冬月のいない執務室から出たリツコは頬を紅く染めていた。
部屋の主は相変わらず不敵な笑みを浮かべていた。
—–
「やっと様になってきたらと思ったら早速遠征?人使いが荒いわねぇ。」
ミサトは指令を受けてそう呟いていた。
その指令とはこうであった。
『北海道の方にEVAクラスの大型ロボットの存在を確認。全機出撃のうえ殲滅せよ』
それ以外の詳細は全く聞かされなかった。必要ないことだといわれれば、一応軍の所属としてはつっこめない。
「全機出撃、ということは実戦に対して慣れろっていうことかしら。ま、軽く肩慣らしにでもいってもらいましょうかね。」
ミサトは事態の深刻さを全く知らなかった。
だから輸送機が飛び立ったあとも、それほど監視していなかった。
そして気がつかなかった。そのあとを完全武装した戦闘機が多数ついていったことを。
「早い話が偽物ってことでしょ?物好きってどこにでもいるのね。」
アスカは弐号機を積んだEVA専用長距離輸送機の中でぶつぶつ言っていたが、その顔は晴れていた。やっと自分の出番が来るのだ、とそう思っていた。
このときはまだ。
『ねえアスカ、偽物って言うことは中に私たちみたいなのが乗ってるのかなぁ。』
無線を通じてヒカリの心配そうな声がした。
「大丈夫よ。乗る前に壊しちゃえば良いんだし、いざとなればエントリープラグを強制射出させればいいのよ。ミサトもそう言ってたじゃない。」
『そうだけど・・・』
「初めての実戦だからねぇ、緊張するのも無理無いけど、大丈夫。何たってあたしがいるんだから。」
『アスカは緊張してないの?』
「あたし?そぉねぇ。緊張の種類が違うと思う。」
『種類?』
「そ。鈴原にでもほぐしてもらったら良いんじゃない?」
『な!なに言うのよぉ!いきなりぃ!』
多数のF18改に護衛されて北上する彼らであったが、その先に何があるか、なんて全く知らなかった。
もし知っていたら、彼らはきっとまともに動くことさえ出来なかったろう。
「おいっ、そろそろ目的地上空だ。EVAに乗ってくれ。」
「はーい。」
アスカは、そしてヒカリ、トウジ、ケンスケの3人もEVAに乗り込んだ。
目的地はもうすぐであった。
—–
「敵小型戦闘機30機、大型機4機、接近中です。」
オペレーターがそう報告すると、ブリッジに絶望の空気が広がる。
その声は司令のトムキャット、シンジとマナの乗るEVAにも届いた。
「やっぱりか。」
司令はそう呟き、計器を見る。燃料はあと機内タンクに半分、バルカン砲は満タン、電子系統、油圧系統ともに異常なし。
「だからどうだ、というわけでもなさそうだな。」
レーダーに映る敵はもうそこまで来ていた。
「シンジぃ、もうだめかなぁ・・・」
マナが泣きそうな顔でシンジにしがみつく。
シンジはモニターを拡大しながらあることに気がついた。
「・・・あれは・・・弐号機・・・!?」
シンジの頭の中ではアスカの顔が浮かぶ。と同時に残りの3体も思い当たった。
「もしかしたら・・・いけるかもしれない。」
シンジはまだ戦いを捨てていなかった。
「司令っ、聞こえますか?」
「ああ、碇君か。もう絶望だな・・・」
「そんなことはありません。これから僕のいうことを聞いてください。」
「まだ戦えるのか?碇君。」
「はい、策があります。あの大型機はEVAを運ぶための物です。」
「なにっ、まだあるのか!?」
「はい。それでですね、そのEVAを運んでいる飛行機をEVAにあたらないように攻撃してください。そうすればきっとEVAが降りてくるでしょうから、そのまま離脱してください。そのあとは僕が何とかします。」
「危険じゃないのか?」
「このままじっと待つよりは安全です。」
「そうか。わかった。」
「お願いします。」
「で、いつからやる?」
「出来れば今すぐ。早いほうが被害が少ないと思います。」
「そうか、じゃあ私は奴らの背後から迫ることにする。後は頼んだぞ。」
通信が切れるとシンジの目にも明らかにトムキャットは急上昇し、すっかり見えなくなってしまった。おそらくレーダーに引っかからないよう高度を取ったのだろう。シンジはあと、待つだけだった。
なるべく動きやすく隠れやすい場所で待機するシンジの機体。一応脇にロンギヌスの槍を構えている。爆炎の中で拾った物だから、どれほどの強度が残っているか不安だったが。
黙っているのが怖いマナはシンジ話しかけた。
「大丈夫なの?あんな事言って。」
「たぶん・・・」
「たぶんって・・・」
「あのEVAの中にはアスカと、おそらくトウジとあと二人が乗っている。」
「ええっ?! じゃあ、シンジはあれを倒せるのぉ!?」
マナがびっくりして叫ぶ。言葉を額面通り受け取ればシンジは彼らを倒すことになってしまう。マナも知っている少年少女だけに、その驚きたるや計り知れない。
だがシンジは相変わらず倍率を上げたままのモニターをじっと見ながら言った。
「別に倒すつもりじゃない。エントリープラグを強制射出して人質にする。そして全員をEVAから引きずり出しておわり。パイロットが捕まれば敵の戦闘機も帰るしかないだろうしね。」
マナはなにも言えなかった。
EVAに乗っている時のシンジはマナの知らないシンジだったが、これほどまでに冷静に戦いを進めるとは思いも寄らなかった。
そのことはシンジを含めて、全員が知らないことでもあった。
シンジはこれほど冷静な自分が不思議だった。そして怖かった。手が震え、汗が出る。気を抜けば吐き気がするし、なんと言っても今までのダメージのせいで全身に痛みが走り、気が遠くなっていくことすらある。
「マナ。
マナは僕が守る。もう誰にも傷つけさせやしない。」
シンジがそう小さく呟くのを、マナは聞き取ることが出来た。
「うん・・・」
モニターに映る飛行部隊はだんだんと大きくなる。
「まだ向こうのレーダーには映っていないな。いくぞ。」
上空20000メートル。司令が操るドラ猫は跳びはね、引っ掻く機会を得た。
音速で急降下するトムキャットのアフターバーナーが悲鳴を上げる。
「もうちょっと待ってくれよぉ・・・・」
体がバラバラになりそうなGに耐えつつ勘だけで敵大型輸送機に向かっていく。
何十秒が何十分にも感じられる瞬間が過ぎたとき、司令の思惑通り目の前に飛行船団が見えた。
「いっけぇぇぇぇ!」
バルカン砲がうなる。
先頭を行く一機の翼にを穴だらけにすると降下したまま離脱する。まさに一撃離脱。そのままループしその後ろに続く輸送機にも迎撃する。輸送機側からの豆粒のような機銃も難なくかわしその向こう側に見える機体にも真正面から20mmバルカン砲2門からの機銃弾を浴びせる
「碇君・・・頼んだぞ・・・」
大型輸送機最後の一機をあっさりパスして再び反転、その機の後ろにつけて再び照準を合わせた。
「敵戦闘機一機、上空より接近!回避間に合いません!!」
輸送機のコパイロットがレーダーを見て叫んだ次の瞬間、いきなりほとんどのランプが赤に切り替わった。
「護衛の戦闘機はなにをやってる?!」
「今気づいたようです!」
「駄目です機体がもちません!弐号機、参号機も攻撃を受けてます!」
「EVAだけでも降下させろ!子供達はもう乗り込んでいる!!」
機関士に叫ぶパイロット。
そしてEVAは自由落下を始めた。予定よりも数百メートル早かった。
「な、なに?」
いきなり落とされた形でアスカは驚いた。
『すまん機体がもうもたない。予定高度じゃないがここで降りてくれ。』
輸送機のキャプテンからの通信であった。
「そんな無責任なぁ・・・」
アスカは落下するEVAの中で叫んだ。
そして見た。同じように落下する仲間達のEVAを。
「ふっふぅーん。敵さんもなかなかやるじゃない。」
それでもアスカはまだ余裕をかましていた。
彼女の落下地点に向かって走る、彼女たちが言う偽物がいることも知らずに。
「きっとこれで最後だ。」
胃からわき上がってくる不快感に血の臭いが混じっていたがシンジは耐えた。
そしてタイミングを見計らって機体を走り出させる。
目標がいやがるであろう、ロンギヌスの槍を片手に。
「シンジぃ・・・」
マナは今日何回その名を呼んだのだろうか。
子供達の乗るEVA4体は無事基地の一番はしに降り立った。
落ちた、という方が正解であったかもしれない。実際アスカ以外は体勢を崩していたり尻餅をついていたりしていた。幸い頭から突っ込んだ奴はいなかったので、アスカは一安心した。
「ミサトにも面倒見てって言われてるしねぇ。」
アスカはそう言って仲間達を起こしに行こうとした。
「惣流、前や!」
自力で体制を整えたトウジの乗る参号機から通信が入る。
アスカはとっさに振り向いて前を確認した。
「あっ・・・」
アスカはもう二度とみたくない物を見たような気がした。
前方からまっすぐに向かってくる機体は白っぽくみえ、さらにその手には変わった形の槍 - ロンギヌスの槍 - が見える。
あのときの恐怖を脳裏によみがえらせてしまった彼女は一瞬動作が遅れてしまった。
相手にとってそれは勝機だったらしい。
槍を突き刺すこともなく弐号機に迫り、そのまま蹴りをくれる。
辛うじて立っていた弐号機だったがそのダメージはパイロットに大きく影響する。
「ぐぅ・・・」
全盛期のアスカならばまず間違いなく気絶するほどの痛みがEVAから伝わってきた。
まともに動くことが出来ない。
「惣流!」
固まっている場合ではないと判断したのか、トウジが敵偽EVAに向かっていく。
それも予見していたのか、ロンギヌスの槍を参号機向け投げつけようとした。
「くっ!」
シンジはその手にあるロンギヌスの槍を投げられずにいた。まともに投げてしまえばおそらく参号機のどこかにあたる。はずして投げてもう後ろにいる2体にあたりかねない。となればせまってくる参号機の手前に投げるしかないのだが、そこまでうまくコントロールできる自信がなかった。
だがその一瞬のためらいはシンジに隙を作らせてしまう。その隙をめがけて参号機が突進してくる。作戦行動もなにもない。ただ闇雲に向かってくるだけではあるが、単純に敵であるならともかく、シンジにとっては友人の一人であり、極力被害を避けなければならない。
「どうすれば・・・」
マナはただ黙って見守るしかなかった。ここに来てから初めてと言っていいほど戦いを躊躇するシンジを。
「いける!」
とにかく敵の動きを止める。そのつもりだけで走り始めたトウジだったが寸前に来て敵が躊躇いを見せていることに何となく気が付いた。そしてそのまま体当たりをかまそうとする。
「トウジ!」
後ろからケンスケの声が聞こえるのにもかまわずそのまま突っ込む。
「駄目だトウジ!いったん距離を取れ!」
「かまへん!このまま押しつぶしたる!」
後少しで手が届く、丁度その時であった。敵機がロンギヌスの槍を手放し少しだけ軸線をはずしたかと思ったその瞬間トウジの乗る参号機は宙を舞っていた。
敵機は突進してくる参号機の腕を取り、着地しようとした足を軽く払った。そのまま一本背負いの形でそのまま向かってきた方向に投げ飛ばしたのだ。
「トウジ!」
「鈴原!」
ケンスケとヒカリは叫ぶ。ただその場を動けずにいたヒカリと違い、ケンスケは持っていたパレットガンを構えトリガーを引いた。横っ飛びに避ける敵機。ケンスケは再び照準を合わそうとしたがその視線上に起きあがった弐号機が見えた。
「ちっ!」
視界の端に未だ倒れている参号機を見ながら、照準を合わせようと移動したケンスケ。だがそこに見えたのはいつの間にか制圧されている弐号機であった。
シンジは参号機を投げ飛ばした後、その反動を利用して転がりながらロンギヌスの槍を手に取り起きあがろうとしていた弐号機に迫った。その向こうにはこちらに照準を合わそうとした四号機も見えていた。
どこか調子が悪くなったのか、それともパイロットがまだ正常に戻っていないのか、外から見た感じではわからなかったが、とにかく戦闘態勢に戻っていないことはわかった。その隙を利用してシンジは槍の腹の部分を使い再び弐号機を組み伏せようとする。
弐号機に乗るアスカもそれに気が付いた。他の武器を取ったり援護を求める暇はないと判断したのか、それを防ごうと構える。
ただそこで一つだけ誤算があった。
アスカは敵が自分を殺そうとしていると思っていた。だとすれば槍の力を利用して凪払うか突き刺せばよい。そして今は凪払われるものだと思い、それに対しての防御をしようとしていた。
ところが攻める側のシンジとしては単に制圧するだけ、そのためにアスカの苦手であろうとする槍をちらつかせて素手で組み伏せる気であった。
この誤算の差は大きかった。
振り下ろされる槍をアスカが避けようとして体重移動する。
シンジはそれを見ると槍を止め弐号機の重心のかかっている足めがけて足払いをかける。
仰向けに倒れ込む弐号機。シンジは槍を捨て迫り行き弐号機をうつ伏せに倒れるようにひっくりがえす。
「ごめん!アスカ。」
シンジはそう言うと、弐号機の背中にあるエントリープラグの強制排出スイッチを機体の手で器用にひねる。
ばしゅぅ、と音を立てて弐号機の背中からエントリープラグが排出される。
『全員EVAから降りるんだ。早くしろ!』
拡声器を最大音量にしてシンジは叫んだ。
上空では戦闘機の群が移動し始めた。すでに彼らに勝機はなかった。ここでの戦闘はもう無意味であった。
『早く降りるんだ!君たちの味方はもう飛び去ったぞ!』
かなり無理をして脅すシンジ。
そうとは気がつかず、トウジ、ヒカリ、ケンスケはあきらめた。
自分たちの中で最大の戦力であるアスカが捕らえられたのだ。航空兵力もなくなった今、どんな抵抗も無意味であった。
そして片膝をついたEVA3体の背中からエントリープラグが排出された。中からハッチが開き、プラグスーツに身を包んだ少年少女が姿を見せる。
『EVAを降りろ。』
シンジは最後の指示を出した。
3人は素直に従い、EVAを降り、自分の機体の前に立った。
シンジはアスカの乗るエントリープラグをそっとおろした。
中からアスカが出てくるのを確認すると、隣にいたマナに言った。
「僕たちも出よう。戦闘は今度こそ終わった。」
「うん。」
マナはシンジを気遣うように頷いた。
誰が何と言おうとこの戦いで一番心が傷ついたのはシンジであったのだ。
シンジとマナがエントリープラグから出た。
その時すでに基地の兵士何人かと、空母の着艦の時に使うフックを使い強制着陸した司令がパイロットスーツのままの4人の少年少女を包囲していた。彼らも抵抗する気は全くなかったし、それ以前に司令が厳重に注意しておいたため暴行を加えられる等のことはなく、ある意味元気だった。
そんな彼らを見てシンジは気が抜けたのかそのままマナに寄りかかった。
「大丈夫?」
「うん・・・気が抜けただけだから。」
そう言いながら二人は機体から降りた。
そんな様を、4人が見ていた。
最初は遠くてわからなかったが、近づいてくる二人に見覚えがあった。一人はずっと前に姿を消した少女であることはすぐわかったが、その隣の私服の少年は間近に来るまでわからなかった。それほどまでに変わりはてていた。
「き、霧島さんに・・・・・・もしかして碇君?・・・・・・」
ヒカリがそう言うと近づいてきた二人はそれぞれに頷いた。
「ごめん、みんな・・・」
そう言ってシンジは倒れた。
皆スローモーションで見るようにその様を見た。
「シンジぃ!」
マナがシンジを抱く。
アスカはその様をただ呆然と見ていた。
トウジもケンスケもヒカリもなにも言えなかった。
救急車と護送車が併走してくるまでその場にいた全員はマナの抱きかかえるシンジに見入っていた。
こうして第2ラウンドは終わりを告げた。
—–
「・・・以上であります。」
第二発令所の通信システムはそう言うと元の真っ黒画面に戻った。
「そ、そんな・・・EVA4体なのよ。なんで・・・」
航空隊の報告を聞いてミサトは青ざめていた。
現ネルフの戦力の大半がこのとき無力化したのだ。今攻めてこられては彼らに為す術はない。
「日向君・・・今、ここの状況は?」
「第三新東京市の全ての兵器を稼働させても、大型爆撃機一機にはかないませんね。」
彼は珍しく、口を濁して遠回しな言い方をした。
それほど状況は悪かった。
唯一救いがあるとするならば今のところ広域レーダーには何も反応がないことだけだった。
ミサトはパイプ椅子にどかっと座るとそのまま天井を眺めた。
「ここまでね・・・」
そのつぶやきを聞いた職員全員が悲痛な面もちに包まれたのは言うまでもない。
その時ゲンドウは珍しく感情を露わにしていた。
樫の木で出来た机をその拳で思いっきり叩く。
「どこの何奴だ、この私の計画をぶちこわすのは!」
彼の奥歯がギリギリとなる、
「し、司令・・・」
側にいたリツコが声をかける。
「・・・リツコ君、ダミーはどうした。なぜ使わなかった。」
ゲンドウの声は荒い。
「すいません。使わなかったのではなく、使えませんでした。」
「どういうことだ!」
「ダミーを起動させるより早くエントリープラグが強制排出されました。これではもう、どうしようもありませんでした。」
リツコは怯えていたがまだ口調ははっきりしていた。
そんな彼女をかばうように冬月が言う。
「碇。
極秘で出発させた量産機9体も全滅し、子供達が乗る4体も捕らえられている。しかもエントリープラグは排出され、手も足も出ん。」
そこまで一息に言うと、ふぅ、とため息をつく。
「どうだ、ここらで退陣を考えたら・・・」
もともとこの作戦に賛成でなかった冬月はゲンドウに退陣を迫った。
EVA無くしては存在する意味がないネルフにとって当然の進言である。
そのようにしか思えないはずだった。
「ふはははははははははははは!
この私が、退陣!?
ふはははははははははははは!!」
「い、碇・・・?」
「し、司令・・・?
「ふはははははははははははは!
ふはははははははははははは!!」
ゲンドウの狂ったような笑い声が執務室にこだました。
「ふはははははははははははは!!!」