第二新東京空港から第三新東京市への車中、リツコとクリフォードの議論は進んでいた。クリフォードは自分の研究テーマと今回の問題の関わりについて、リツコはクリフォードの説明から導き出される仮説について。傍目から見ても白熱した議論に、冬月もダンチェッカーも口出しを出来ずにいた。
置いてきぼりを食らった形の二人は、それで居て水面下の戦いを繰り広げていた。
これまで得られた情報が正しければ、今回の件の真実の一端をダンチェッカーが握っていることは確かである。それが分かるからこそ、冬月は身長に言葉を選び、ダンチェッカーと相対していた。
これはまたダンチェッカーにとっても同じ事だった。彼も一応ゲイツのたくらみに荷担している身であり、それ自体が公になった場合、彼自身にも好ましくない事が起こるのは想像に難くない。しかし、彼生来の気質とでも言うのだろうか、何事にも首を突っ込みたくなる質が今回も彼の行動を後押しした。ただ火中の栗を拾うほど物好きではないので、冬月との会話は勢い慎重な物にならざるを得なかった。
「クリフォード氏とはどういったきっかけで……」
探りを入れるように冬月が話の口火を切った。
「ボストンのパブで知り合いましてね。
お互い呑んだくれて、上役の悪口を言っていたところで意気投合したというわけです」
「上司ですか……」
そうだとダンチェッカーは頷いた。
「ええ、彼は自分の研究内容に水を差されましてね。
もっと生産性の有るやり方をしろと文句を言われたようです。
私の方はと言うと、少し行動を自嘲しろと……まああの頃も今みたいに動き回っていたのでね」
「成る程、何処の誰かは知らないが見識が無かったのかな」
「いや、見識が有ったのでしょう。
だから彼らは未だに厄介事を背負い込まないで済んでいる」
「ほう、厄介事だとお思いになっているわけで」
「いや、我々は楽しんでいますよ。
だからこそ管理する方には厄介なことと思われるでしょう」
「確かにその点は否定できませんな」
確かに有能な部下は貴重だが、有能すぎる部下は危険だなと冬月はダンチェッカーの顔を見て考えた。上の制御を飛び越えて暴走する。これほど組織に取って扱いにくい物はあるまいと。
「時に……」
来たなとダンチェッカーは冬月に分からないように身構えた。
「博士達は独り身ですか」
ダンチェッカーは肩すかしを食った気になった。そこを何とか気を取り直して冬月の顔を見た。ひょっとしてこれはジョークかとダンチェッカーは訝ったが、冬月の真面目腐った顔からはそれが判断できないでいた。
「いや、何、ネルフには優秀且つ魅力的な女性が揃っておりますからなぁ。はっはっは」
ひょっとしなくても今のは冗談だったのか、ダンチェッカーは心の中で頭を抱えた。『ちっとも面白くない』と。
「まあ赤木博士を含め、この前シンジ君と一緒に来ていた朝霞嬢も魅力的であることは認めます。
しかし、それが何か……」
「いやなに、こういった仕事をしていると外部の空気に触れることが少なくなりましてね。
密かにうちの女性職員の心配をしておるのですよ。
嫁き遅れ無いかと……ツッ……失礼」
ダンチェッカーは、その時リツコの右手が冬月の尻を抓っていたのを見逃さなかった。そしてまた感心もしていた。よくブラッドとの議論のさなか、こちらの話を掴んでいると。
「まあその類の話は、セクハラにもつながりますのでお気をつけて」
「ふむ、まあ忠告は聞いておくことにしておきましょう。
私も尻の皮は厚くはないので。
時にゲイツ氏はなんと言っておられましたかな」
やはり食えない男だ、とダンチェッカーは考えを新たにした。しかし、何処で自分とジョンとの関係を掴んだのやら……伊達に非公開組織の長をやっているのでは無いなと、ダンチェッカーは彼を見直した。
「彼はかんかんでしたよ。
私が秘書代わりに使い回しましたからね。
しかし、彼は本当に有能な旅行エージェントですよ。
彼に頼めば魔法のようにチケットが湧いてくる」
「彼との関係は」
「タイタンシステムをご存じでしょう。
ハードウエアを作ったのはいいが、にただの箱と成り下がっている最大にして最強のコンピュータです。
このままシステム開発を行うと、20年掛かると言われていると彼が泣きついてきましてね。
脳の情報と機械とのインタフェース。
まあ私の研究の一つであるのですが、その分野での協力ですよ。
最終的には、人間の脳をマシンの一部として活用することまで視野に入れています。
そうすれば専門家を一人しばらく繋いでおけば、複雑なプログラミングなど不要になりますからね。
思考のプログラム化というまあSFの一つの実現解ですよ」
「ほう、それはすばらしい。
有る意味タイタンよりエポックメーキングでありますな」
「それだけに開発は困難を極めていますがね……」
二人の話は当たり障りのない所をうろうろとしていた。有る意味での腹のさぐり合いである。冬月に年の功が有るかと思われたが、ダンチェッカーはのらりくらりと肝心な点をかわし続けた。
一方リツコとクリフォードの議論は白熱した。こちらは腹のさぐり合いなど一切無く、お互いがこれまでの研究・経験に基づき、率直に意見をぶつけ合った為だった。有る程度エヴァンゲリオンの情報は公開されているとはいえ、やはり肝心な部分は闇の中である。特に相転移空間に関する情報など、固く隠蔽されネルフの外に出ることはなかった。しかし今回、リツコは敢えてその話もクリフォードにするつもりで居た。何よりも使徒が時空の間をATフィールドを使って移動しているのなら、その情報を開示しない限り、シンジの救出はならないのだ。それに存在自体のデータが有ったとしても、発生させることが出来なければ危険は無いのだ。
「やはりあの使徒の姿は、高時空間からの投影であると考えていいのですか」
「いや、投影というのは上空に現れた球体の方でしょう。
実際にはこの座標平面と本体が交わったときに出来る虚像でしょう。
ほら、これは方程式を解いた結果ですが、この解の他に虚数解も導き出されます。
これが上空に浮かぶ影の実体と考えていいでしょう」
「ならばこの現象はどうお考えになります」
リツコの示すディスプレーには、上空に浮かぶ使徒を食い破る初号機の姿が映し出されていた。
「成る程、虚数解の部分が実数解へと変わっていますね。
しかももう一つの解の条件は変わっていない……
方程式を解くために与えたパラメータの幾つかを動かせば……
駄目ですね、こいつじゃあ日が暮れてしまう」
クリフォードはラップトップを忌々しそうに叩いた。
「もっとも、研究室でも多少演算速度が改善されるだけですけどね。
なかなか予算の関係でスーパーコンピューターが確保できないんですよ」
「処理時間はどのくらいですの」
「パラメータの与え方が良ければ一晩ぐらい。
この場合幾つかパラメータを振らなくてはいけないので……
考えたくない時間ですね」
ふむ、とリツコはクリフォードの持っているラップトップをひっくり返してみた。市販品としては上等な部類に入る物だろう。そう市販品なら……しかしネルフには計算能力に関してなら切り札がある。それもパラメータを振って最適解を求めるにはもってこいのマシンが。
「多分私どもの方で、環境は提供できると思いますわ。
その方程式を解くアルゴリズムの方はご用意頂けるのでしょうか」
「それはもう大丈夫です。
IntCで書かれたプログラムも有りますよ」
「それは結構!」
そう言って微笑むリツコに、クリフォードは『ほう』っと言う表情を浮かべた。
「ところでクリフォード博士」
「ブラッドでいいですよ、赤木博士」
「なら私もリツコでいいですわ」
「分かりましたリツコ。話はなんでしょう」
「ではブラッド、大体どのパラメータを振ればいいか予想はついていらっしゃるんでしょう」
「まあ何とかね。
方程式上でここからここまでのパラメータ、この辺りが大きく関連すると考えられます。
頭の6個が波動の性質を示すパラメータ。
次の5つが空間……と言ってもこの場合は通常空間ですが……の湾曲を示すパラメータです。
以前友人がこのパラメータをいじっているとき面白い物を見つけたんです。
ちょっとサンプルが有るんで見てみますか」
そう言うとクリフォードは鞄の中に手を突っ込み、何者かをごそごそと捜し始めた。そして何枚かのMOを取り出すと、そのラベルを読み飛ばしていった。
「これですこれ、ほらここのパラメータをこうしてやると……
通常空間に面白い場が形成されるんですよ。
ほら、ここですがね。
この極小の点でですが、空間が反転するんですよ。
なんと言えばいいのか……そう、この空間を挟んで不連続になると言うのか……」
「その空間はどんな性質を持つのですか」
「空間自体は特におかしな性質を持つわけでは有りません。
その空間の中では物理法則も曲がりませんし、時間もちゃんと過ぎていきます。
問題はその空間の境、特異点……特異平面に有ります。
エネルギー的なことを言うとですね。
この特異平面を乗り越えるには、非常に大きなエネルギーが必要になります。
それは物理的物体にしても、光のような波動にしても同じです。
面白いのはパラメータを少し振ると、その必要となるエネルギーがそれぞれ異なってくることです。
上手くパラメータを設定してやると選択的に阻止することも可能となる。
まあフィルタみたいな効果が可能になります。
もっともこれは計算上の話であって、実際にこのパラメータを振る方法が存在するわけでは無いですけどね」
リツコはこの仮説に興味を覚えた。その導き出された結果は自分の良く知っているものに似ているのだ。ただ問題は知っているだけで、発生の原理を知っているわけではない。
「興味を抱かれたようですね。
友人もこれを見つけたとき、SFに出てくるような強力なバリヤーが出来ると騒いだ物です。
ただ、その時彼は大きな事を見落としていたのですけどね」
「それはなんですの」
「このパラメータは、人が意識していじることのできる代物ではないと言うことです。
……つまり、分かっていても作れない、と言うことです」
話はお終い!とばかり、クリフォードは持っていたラップトップのディスプレーを閉じた。これ以上このマシンを使ったところで時間が稼げるわけでは無い。後はネルフ本部に行ってから準備をすればいいのだと。
「お話ですがブラッド……その現象はネルフが良く知っている物に似ていますわ」
「ほう……それはなんです」
「噂ぐらいは聞いたことが有るでしょう……
心の壁……ATフィールドです」
リツコの依頼を受け、ミサトはUNに太平洋上の哨戒を依頼していた。特にこちらが臭いと言う根拠はない。強いて言えばこれまでの侵攻ルートが南側に偏っていたこと。それに女の勘である。何れにしろ機材の関係もあり、哨戒自体は地域を限定せざるを得なかったのも確かである。
哨戒を出してから1時間。今のところなんの報告もない。理由もなく依頼を受けた事もあり、ミサトの胸中は半信半疑と言うところだろう。
「日向君、哨戒のUNから何か連絡有ったぁ」
元々緊張感に欠ける所はあったが、ミサト自身心配事が他に有ったため、哨戒自体に対して興味は向いていなかった。
「今のところ何も……でも本当に出るんでしょうか」
「あのリツコが、なんの根拠もなく言って来るわけは無いと思うけどね。
まあ今のうちの状態じゃあ誤報であって欲しいわね」
「ふ~ん、うちの状態って?」
ミサトの後ろから声がかかった。
「そりゃあシンジ君が使徒に取り込まれていて。
アスカがそれを悲観して落ち込んでいる状態よ。
そんなことで落ち込むぐらいなら、初めから意地を張ること無いのにね」
「誰が、意地を張って居るんだって?」
「決まっているじゃない。
アスカよアスカ。
そりゃあ、事情があることぐらい分かっているわよ。
でもさぁ、自分だけ悲劇のヒロインになって欲しくないわよねぇ」
「ふ~ん、そうなの」
ミサとはこの時気付くべきであったのだ。誰が隣で話しかけているのかを。
「そうよぉ。そのくせ、ごめんの一言でおたおたしちゃって。
簡単に剥がれるメッキなんか意味無いのにね」
「悪かったわね。単なるメッキで」
「いや~ねぇ……ってハイッ?」
「悪かったわね。メッキみたいな安物で」
ギョロリとにらみ付けるアスカに、ミサとは自分の迂闊さを棚に上げ、助け船を出さなかった日向に矛先を向けた。
「ちょっと日向君、どうして何にも言わなかったのよ」
「ミ・サ・ト、日向さんはいいでしょ。
じっくりとお話し合いをしましょう」
しかしアスカはミサトを逃がさなかった。
「ははは、アスカ……そう言えばここにいたんだっけ?」
「ええ、丁度今日から作戦部付きになったわよ。
そのおかげで、上司があたしのことをどう見ているかよく分かったわ」
「あ、あれは、その、ものの弾みって奴で」
「それで、本音がぽろりと出た訳ね」
冷や汗がたらり、ミサトのこめかみを伝って落ちた。迂闊のそしりを免れないことは分かっていたが、何とかして欲しいと複雑な思いにミサトは居た。そんなミサトの願いを聞き遂げたわけではないが、今の状況を何とかするものが現れた。日向マコトの監視するモニタに現れた光点は、リツコの予告したとおりパターン青を示していた。
「太平洋上に未確認物体を発見。パターン青。間違い有りません使徒です!」
その報告に発令所の空気は一気に引き締まった。ミサトの首根っこを押さえていたアスカも唇をかんで前方のスクリーンを見詰めている。来るものが来た、出来るなら今は来て欲しくなかった。誰もがそう願わないわけには行かなかった。
「ここへの到着予想時間は」
「発見が早かったですからね、後20時間は有ります」
「日向君、エヴァの準備は」
「8号機は修復が終わっています。
7号機は現状では修復が完全ではありません」
一瞬の逡巡の後、ミサトは決断を下した。
「警戒態勢のまま、待機。
パイロットは全員に召集をかけて。
別命があるまで本部で待機させます。
青葉君!」
「はいっ」
「相手の特定はできない?」
「まだパターンが微弱ですからね。
哨戒機からの報告の方が早いと思います。
UNの哨戒機が後10分で出現ポイントに到着しますから」
ミサトは、黙って光点が映し出されたスクリーンを見つめるアスカを見た。緊張の色が明らかに見える。無理もない、この前の勝利もシンジが居たからである。シンジが居ない中で、今度は一人で戦わなくてはならない。いくら強がってみても、不安は拭いきれないのだろう。
「アスカ……あなたに任せるわよ」
「任せておきなさいミサト。
使徒の一匹や二匹、けちょんけちょんにしてあげるわ」
「頼みにしているわ……」
この時ミサトは頭の中は、作戦を猛烈な勢いで考えていた。アスカ自身は弐号機の時ほどシンクロ率は上がっていない。しかも、精神的な安定状態にあるとも言いがたい。一人で立ち向かわせるべきか、それとも不完全とは言え、稼働するエヴァを遠距離支援として使用するか。
「まあ、無駄にはならないわね」
そう一人呟くと、彼女は武器の取り扱いに慣れている相田ケンスケを支援に出すことを決意した。
「哨戒機からの映像が入ります」
青葉の声と共に前方に映し出される映像。そこには海中を走る大きな影が映し出されていた。
「アイツだ……」
そのシルエットにアスカが呟いた。彼女にとっては思い出深いと言っても良い使徒。第六使徒の姿がそこに映し出されていた。
「ここに来ますか」
日向としては情報でしか知らない水中型の使徒。弐号機との戦闘は水中で行われたと聞いている。その使徒が本当にここに来るのか、その疑問が彼にはあった。
「間違いなくね。
相手が海の中にしか居られないなんて思わないことね。
今までの奴で空を飛べる構造の奴なんていなかったんだから」
これまで現れた使徒が前回の行動の範囲を超えていないこともあり、日向の表情は半信半疑の物だった。
「考えてもしょうが無いわ。
奴は来る……そう思って対策を立てましょう。
新第壱拾弐使徒の事もあるから、本部から離れた地区での作戦は避けた方が賢明ね。
日向君、目標がまっすぐこっちに向かってきたとき、迎撃に都合がいい場所の選定をお願い。
ポジトロンライフルを使うわよ。
各員は迎撃ポイント決定を待って行動開始。
パイロットは本部待機、いいわね」
ミサトの号令を待っていたように、発令所全体が動き出す。あるものはMAGIにアクセスして戦術の検討、あるものは関係部門との調整。当然UNとの連携も重要になってくる。ミサトは、騒然と動き出したメンバーを満足そうに眺め、傍らにいるアスカに目を向けた。緊張しているようだが大丈夫、怯えてはいない……
「アスカ……ここが正念場よ」
その言葉にアスカはこくりと頷いた。そして、ミサトには意外な言葉を続けた。
「一つお願いがあるんだけど。
なんて言ったっけ、シンジの彼女。
その子をここに連れてきて欲しいのよ」
「副司令代理のお嬢さんのこと?
彼女が、何か関係あるの?」
「確かめたいのよ、いろいろなことを……」
深刻な顔をしたアスカに、ミサトの答えは軽いものだった。
「いやはや、何とも凄まじい能力ですな」
松代にあるMAGIレプリカを占有して作業していたクリフォードは、目の前に吐き出された演算結果を眺めながら呟いた。
「桁違いというか何というか、電卓とスパコンの差だ」
「ネルフに移籍されますか?」
クリフォードの言葉を聞きつけたリツコは、そう話を持ちかけた。
「まったくですな、チームで越してきたいぐらいだ。
こちらならあなたもいるし……」
「最後のはお世辞と受け取っておきますわ。
でも、この件が落ち着いたら考えてみていただけません。
優秀な頭脳の参加は歓迎いたしますわ」
まんざらでもないのか、少し顔を赤らめながらリツコはクリフォードを誘った。彼女の言葉はまんざら社交辞令でもない。ネルフとしても優秀な科学者を必要としているのだ。
「まあメンバーの合意もいりますし、一応我々も公務員ですからね。
あんまり派手なことをすると政府に睨まれる」
「確かにそうですわね。
この話はまた別の機会にでも。
それで検討は進んでいますでしょうか」
「非常に順調……と言いたいところですが、結局一つの壁に突き当たるんですよ。
先ほどからパラメータをいじって解を求めているんですが……」
ほら、とばかりにクリフォードはディスプレーに映し出された表示を指さした。
「使徒とエヴァンゲリオンは、我々のいる世界と相互干渉しない領域に存在しているわけです。
言ってみればこの紙とこの紙、こちらに線を引いたところでこちらには何の関係もない」
手に取った紙にクリフォードはペンを走らせた。
「こういった関係の二つを同じリングに引き込むためには……
ある種の引力を働かせてやればいいわけです。
ここで問題なんですが……
知覚する事もできないものに対して、こちらから能動的に力を働かせることができるか。
答えはノーです。
どう考えてみてもこれを解決する方法が無いんですよ」
「使徒が次に現れるのを待って見るというのは」
「確かにそれも一つの案です。
ただ前回と同じように、パラメータの一部だけこの世界に交わるように現れたら打つ手がありません。
使徒を倒すことはできるかも知れませんが、中に居るエヴァンゲリオンをつり上げることはできないでしょう」
ふうむとクリフォードとリツコは首をひねった。理論的に説明はできるのだが、実現する手段が無い。これはできないのと同じなのだ。
「ちょっと良いかな」
蚊帳の外、と言った感じで、ぼんやりとコーヒーを啜っていたダンチェッカーが割り込んで来た。
「ブラッド、車の中で赤木博士に見せていたあの現象……
ATフィールドに似ていると言われた奴だが、あれがATフィールドなら話が変わらないか」
ダンチェッカーの言葉にクリフォードは、さもすまなさそうな表情を浮かべた。
「クリス、それも考慮に入れたさ。
だが、こちらの世界でATフィールドを形成したとしても、別平面をつなげる事が出来るわけじゃない。
二つの空間にあるバブルが反発しないで、表面張力のように作用しあうには色々な条件が必要なんだ。
逆に反発しあって相手を弾き飛ばしてしまう事もある」
どういうことだとダンチェッカーは首を傾げた。
「いいかクリス、事はそう簡単じゃないんだ。
たとえば、このパラメータに対してこちらから干渉したとする。
確かにその与え方によっては求める解は存在する。
しかしだ、パラメータの組み合わせが幾つあると思っているんだ。
行き当たりばったりで捜すとしたら、砂漠の砂の中に落とした真珠の粒を捜す方がまだましだ」
「向こうのエヴァとこちらのエヴァのATフィールドが同調したら?」
「それならまだ可能性はあるというか、それしか方法はない。
しかしどうやってやるんだ?
お互いが闇雲に捜しあっても結果は同じだぞ」
腕を組んで考えていたダンチェッカーだったが、それしかないかと呟いた。
「ならば、仲間というものに賭けてみよう。
聞くところによると、パイロットの二人は同棲していたと言うじゃないか。
しかも、かつて行った共同作戦はうまく言ったと聞いている」
「……きわめて、心許ない話だな」
「しかし、可能性はゼロではないだろう?
二人が憎みあっているわけでもあるまい?」
そう口にしたダンチェッカーに、リツコは見えないように苦笑を浮かべた。
(憎みあってはいないわよ……でも、最悪の状況にあることには変わりないわ)
「確かにそれ以外は当面方法は無いことは認めよう。
しかしだ、相手を引きずり出す代わりにこちらが引き込まれる可能性もある。
分かっているとは思うが、バブルはお互いを吸い寄せあうんだ。
それでもやるのか」
「それを決めるのは私じゃない。
我々は現状を打破する方法とそのリスクを提示すればいい。
最後に判断するのは彼らだよ」
『それに』とダンチェッカーは続けた。
「もしこの作戦が失敗したとしても、人類が滅びるだけだろう。
なに大丈夫だよ、人の想いが位相空間を形作るのなら必ず彼らはやり遂げるよ」
リツコは、ダンチェッカーの浮かべた柔らかな表情に、今まで感じていた蟠りが晴れていく気持ちがした。証拠だけ挙げていけば限りなく灰色に近い人物、だけどもこの男を信じてもいいのではないかと言う気持ちがリツコに芽生えてきた。
「結局どうすれば宜しいのでしょう?」
ダンチェッカーにつつかれたクリフォードがリツコの質問に答えた。
「極めて非科学的な方法で申し訳ないのですが……
セカンドチルドレン……彼女に祈って貰うことになります。
エヴァンゲリオンに乗って、彼の帰ってくることをね。
それで発生したATフィールドで、彼の居る世界とこちら側を繋ぎます。
ちょうど二つの泡が干渉して一つにつながるようにね……」
クリフォードはそう言うとディスプレーの3D表示を示した。そこでは二つのバブルが接近して融合している状況が映し出されていた。
「我々の知覚できる範囲を縮退してあるので、ちょっとイメージが違うかも知れませんがね。
こうやって干渉させることで、彼のいる空間ごとこちらに引きずり込むことができる。
リスクと言えば……逆にこちらのエヴァンゲリオンが向こうに引きずり込まれること。
確率はフィフティ=フィフティ、ひょっとしたら向こうの方が慣れている分だけ不利かもしれません」
「それでも、試す価値はあると仰るのですね」
「我々のたどり着いた、唯一の可能性ですからね」
確かに。リツコは、少しだけ光明が見えた気持ちがした。
ダンチェッカー達の考えた作戦は、新第六使徒迎撃前のブリーフィングでアスカに伝えられた。その話を聞いた時のアスカは、あっさりと『そう』とだけ答えを返した。
「アスカ?」
あまりにもあっさりとしたアスカの答えに、ミサトは不安を感じしてしまった。そんなミサトの気持ちが分かったのか、アスカは少しだけはにかむと大丈夫だと答えた。
「方法があるのなら、やってみるだけのことでしょう?」
「でも、失敗したらあなたまで向こうに引き込まれることになるわ」
「別に大したことじゃないわよ。
シンジと二人きりなんて、別に珍しいことじゃないから」
「そ、そうなの?」
「そのうち教えてあげるわよ。
あと、シンジのガールフレンドはどうなった?」
「いま、妹さんと一緒にこっちに向かっているわ」
レイコに拘ったアスカに、何かあるのかとミサトは聞いた。そんなミサトに、大したことではないのだがと断って、アスカは自分の気持ちを打ち明けた。
「ミサト、あんたあたしに言ったわよね。
シンジは、昔のような気安い関係に戻りたかっただけだって。
それなのに、どうして拒絶するような真似をしたのかって」
「え、ええ……」
「ミサトは、一つだけ間違っているのよ。
確かに、シンジはそのつもりかも知れないわ。
でもね、私は自分が女であることを知ってしまったのよ。
そしてミサト、あたしの女はシンジを求めているのよ。
分かった?あたしがシンジを受け入れることが出来なかった理由を」
「……そう言うことなのね」
よく分かったと答えたミサトは、だったらと言葉を続けた。
「どうして、今頃私にそんなことを教えてくれたの?」
「自分を押さえられないのが分かったのよ。
だからあたしは、シンジをあたしの男にする。
彼女が居ようが、二股を掛けようがそんなことは関係ないわ。
でも、あたし以外の女がつまらない女だったら許さない。
だから、シンジの彼女を呼んで貰ったのよ」
「そんなこと、逢わなくても分かりそうなことだけど?」
「それでも、顔を合わせて宣戦布告する所に意味があるのよ」
「まあ、アスカがそれで良いのなら別に構わないけど?
どっちにしても、使徒を倒してシンジ君を引っ張り上げてからの話よ。
必要な時間は、自分で作ってちょうだい」
分かっている。アスカは短く言い残して、自分の戦場へと向かっていった。
新第六使徒はまさしくミサトの予想通りに、相模湾まで到達するとATフィールドの応用か空中へと舞い上がった。スピード自体は海中を遊泳しているときに比べて落ちている。それがここまで海中を進行していた理由であると予想された。そして居場所を空中に変えた使徒は、途中でのUNの攻撃を物ともすることなくまっすぐに第三新東京市へのコースを辿った。
使徒の到着が後1時間となったところで、ネルフは2体のエヴァを迎撃地点まで移動させた。アスカとケンスケが初めて行う共同作戦。そうは言っても、ケンスケの乗る7号機は修復が完了しておらず、格闘戦はまだ無理な状態だった。そのためミサトは、アスカの8号機が使徒を受け止め、ケンスケは少し離れた地点からポジトロンライフルで狙撃を行う作戦をとった。
アスカは得意とするソニックグレイブを構えて、使徒の到着を待った。不思議と緊張を感じては居なかった。この使徒を倒さなければ後に進まない事は判っているのだが、どうしてもアスカがその後のことを考えてしまう事にその理由があった。
「まずは目の前の敵に集中する事」
アスカはUN軍の作り出した爆煙が近づいてくるのを確認すると、自分にそう言い聞かせた。
新第六使徒は、海を空に置き換えたように自在に空中を滑走していた。そして8号機の姿を見つけると、一度急上昇し、その高さを生かし、次には急降下してきた。特にビームとかの攻撃はない。その自重を生かした攻撃を主体とするものと思われた。使徒の重量は驚異なのだが、不思議とアスカは恐怖を感じていなかった。それどころか、単純な攻撃方法に安堵すら感じていた。アスカは、接近してくる使徒に、ゆっくりとソニックグレイブを構えた。アスカの力量ならば、突進してくる使徒を交わし、その間際にソニックグレイブをコアにたたき込むことは容易なことに思われた。だが、予想に反して、すれ違おうとしたアスカは、使徒にはじき飛ばされてしまった。
「どうしたのアスカ……しっかりしなさい!」
「ちょっと驚いただけのことよ。
それよりも、今の映像を確認してちょうだい!」
アスカの言葉に、ミサトは日向に命じてサブスクリーンに弐号機からの映像を映させた。
「これって……」
「行方不明の量産機を発見って所ね。
ディラックの海から、こんな所に5号機が飛ばされるはずがないから、
たぶん、海の中に漂っていた奴でしょう?」
「それで、大丈夫なの?」
「全然!こっちはぴんぴんとしているわよ。
それよりも相田!出番をあげるから、がんばんなさいよ!」
「せいぜい頑張ることにするさ……」
いつの間にか昔に戻ったアスカに、ケンスケは自然と苦笑を浮かべていた。どういう理由か分からないが、自分の憧れた少女が帰ってきてくれたのに胸がときめかなかったのだ。
(一生、対等にはなれそうもないな……)
そんなことをケンスケが考えているとは知らず、アスカは発令所の中に見慣れぬ少女達の姿を見つけた。一人の顔は、ドイツで写真を見せられたことがある。ならば、もう一人がシンジの女のだろうと想像した。
(落ち着いているわね……)
剛胆さは合格だ。画面越しにアスカは、レイコをそう見極めた。
「相田!いくわよ!!」
「あいよ!」
アスカはかけ声とともにソニックグレイブを捨てた。そして、大きく両手を広げて落下してくる使徒へと向き直った。
「……ATフィールド全開!」
「8号機、シンクロ率上昇しました!」
オペレータの報告の通り、目にみえて8号機のATフィールドが強化された。そして、そのままの勢いで飛び込んできた使徒を、8号機のATフィールドはがっちりと受け止めた。両者のATフィールドが干渉し、強い干渉光が発せられた。だが8号機は、使徒の巨体を一歩も引かずに受け止めた。
(すごい……)
想像以上の光景に、発令所に居た誰もが呆然とその光景を見つめた。アスカが見せた力は、14歳の時に見せたきらめき以上のものだったのだ。
「相田ぁ、いっけぇ~」
膠着した時間を、アスカの掛け声が切り裂いた。アスカの合図を受けたケンスケの攻撃は、まばゆい閃光となって使徒の口へまっすぐに突き進んだ。そしてその閃光は、いとも容易く使徒のコアを貫いて尻尾へと抜けていった。陽電子に体を貫かれた使徒は一瞬体を硬直させたが、すぐに力を失い重力の餌食となって地面へと落下した。
「使徒殲滅を確認しました」
青葉の報告に、全員がそれまで溜めていた息を吐き出した。とりあえず、目先の敵の排除には成功した。あとは、シンジを飲み込んだ敵を待てばよいと。
「二人ともご苦労様、戻っていいわよ」
「待って、ミサト……なにか手応えがあるの」
しかしアスカは、ミサトの帰還命令に反対した。
「手応えって?」
「手応えは手応えよ。
使徒なのかシンジなのかは分からないわ。
でも、何かが引っかかったのははっきりと感じたのよ」
「リツコ!」
はっと振り返ったミサトに、リツコははっきりと頷いて見せた。親友の同意に、力を得たミサトはアスカに作戦の継続を命じた。
「アスカ、このまま一気に引っ張り込んでちょうだい!」
「言われなくても、そうしているわよ!!
ところで、シンジの女と妹!」
非常時なのに、あまりの物言いである。さすがに、このアスカの発言には発令所の中からも苦笑が漏れ出ていた。だが、当のアスカはそんなことは関係なかった。
「あたしは、これからシンジを掴まえる。
もしも、あたしと張り合うつもりがあるのなら、あんた達も頑張ってみなさい!
ATフィールドは、エヴァと使徒だけが持っているものじゃないのよ!」
「アスカっ!」
あまりにも迂闊なアスカの言葉に、慌ててミサトは取り繕おうとした。だが、そのことすらアスカは笑い飛ばした。
「知っていても、出来ることとは全く別なのよ。
それに、その程度のことはすぐに秘密でもなんでもなくなるわ!
分かったわね、シンジの女!」
むちゃくちゃな議論なのだが、アスカの言葉は全員をねじ伏せた。いや、ねじ伏せられなかった者が一人だけ居た。アスカに、シンジの女呼ばわりをされたレイコだった。
「人を物のように呼ばないでください。
私には、レイコって言う名前があるんですから」
気丈に言い返してきたレイコに、アスカはにやりと笑って見せた。
「あたしに刃向かうなんて上等ね。
気に入ったわあんた、それで妹の方はなんて言うの」
「私はマナです!昔の同居人さん!!」
「分かったわ、レイコ、マナ。
シンジが大切なら、あんた達は祈ってちょうだい。
「祈れば良いんですね」
「命をかけて祈ってちょうだい!」
そう言い残すと、アスカは8号機の両腕を広げさせた。
(帰ってきなさい、私のところへ……)
そして8号機に合わせるように、少女達もまた胸の前で両手を握り締めた。
(帰ってきて……)
真摯な3人の願いは、確かに高次空間に居るシンジに伝わった。
「みんな!!」
暗闇の中に、シンジは白い糸を見つけた気がした。
「僕を呼んでいる……」
そのATフィールドの糸をたどり、シンジは5号機の出力を爆発させた。爆発的に広がったATフィールドは、使徒の作り出した闇を引き裂いた。その結果、何も無い空を引き裂き、シンジの乗った5号機が生れ落ちた。
使徒から脱出したシンジにはさまざまな検査が待っていた。そして同時に5号機に対しても突然動きを止めた事への調査の手が加えられた。しかし1週間を要した5号機の調査からは、結局何の情報も引き出す事は出来なかった。北米支部のMAGIもすでに失われている。完全に手詰まりとなったことは、後の戦いに大きな不安材料を残す事になった。
しかしそれはネルフの技術者が悩めばいいことである。残念ながら今回の作戦の立役者の一人、赤木リツコは苦労の種を背負い込む事となってしまったが、それ以上に彼女にとっても今回は収穫が大きかった。ダンチェッカー、クリフォード。この二人と知己を得る事が出来たのは、彼女にとっても大きな収穫であった。今後の戦いにどう影響するのかは判らない。しかし彼女にとって助力を求める相手が出来たと言う事は精神的苦痛を和らげるのに大いに役立つ事だろう。
シンジが無事生還した夜、葛城ミサトを発起人にシンジの帰還パーティーが催された。シンジ自身に疲れは有ったが、なによりも自分の帰還を喜んでくれる人たちと一緒に居たかったのだ。残念ながら発起人にはかけ声を掛ける以上の能力がなかったので、パーティーは霧島ミドリ、大和ヨウコの両主婦の活躍にすべてが任されることとなった。霧島家のリビングにはダンチェッカーとクリフォードも当然のように招かれ、リツコもまた強引にミサトに連れ出されていた。
広めのリビングとは言え、それだけ人が集まれば手狭になる。なし崩しに始まった宴会は、場所を庭にまで広げて大いなる盛り上がりを見せた。次々と訪れる客に、料理の消費は止まることがなかった。結局霧島、大和家の女性は大車輪の活躍で旺盛な食欲を満たすべく奮闘していた。
そんな中、勢い込んで参加したアスカは、大きな後悔をしていた。発令所で啖呵を切ったのはいいのだが、よくよく考えてみなくてもずいぶんと恥ずかしい行為だったのだ。もちろんその話がシンジに伝わらないわけが無い。手酷く拒絶した建前上、どういう顔をシンジの前ですれば良いのか分からなかったのだ。
「ええっと、シンジはどうしているの?」
手近に話せる相手はミサとしか居ない。そう思ってミサトを捕まえたのだが、すでにしっかりと出来上がっていた。
「はいっ?」
「あっ、いいのよ。邪魔したわね」
絡まれる前に、アスカはほうほうの体で逃げ出した。いたるところに歓談の輪が出来ているのだが、どうしても入っていけるような雰囲気ではなかった。どうしたものかと思案しているところに、いきなり後ろから声をかけられて飛び上がってしまった。
「アスカ、さん」
「は、はいっ~」
振り返った先に居た人物に、アスカの声は思わず裏返ってしまった。薄暗がりに日に焼けた巨漢の姿は、はっきり言って無気味に見えてしまったのだ。そんなアスカに、ムサシは身を縮こまらせて謝った。
「いや、すまない。
シンジが来るまで、向こうで話さないか?」
「え、え~とっ……」
いくら腕に自信があっても、さすがにムサシの迫力には圧倒される。シンジの名前を出したところを見れば、ナンパではないだろうと想像できるのだが、だからと言って付いていくのも無防備すぎる。それに気づいたムサシは、慌てて自己紹介と声を掛けた理由を話すことになった。
「すまない、驚かせたようだな。
親父は知っていると思うが、副司令代理をしている。
俺の名は大和ムサシ。妹のことはもう知っていると思うが?」
「それで、あたしに何の用があるの?」
「いや、俺自体は用がないのだが……俺はパシリに使われただけだ」
ほらとムサシが指差した先には、手を振っているマナの姿があった。アスカは、ああと大きく頷いた。
「あんたのことは、シンジから聞いていた」
「シンジから?シンジはなんて言っていたの?」
「それは、後から本人に問いただすべきことだと思っている……」
「それも、そうね」
ありがとう。そう言って走っていったアスカを、ムサシは厳しい目で見送った。
「確かに、見た目は極上だな。
しかし、それだけでは……」
ムサシはそう呟くと、にぎやかな話の輪のほうへと歩いていった。
シンジの生還を持って、人々は一つの事件の終わりを感じた。しかし、終わりは始まりへと続くのが慣わしだった。誰も気づかないうちに、MAGIの中で共存していた第壱拾壱使徒がその存在を消したのである。その事実を見つけたとき、誰もが首を捻るしかなかった。第壱拾壱使徒は、MAGIに対して攻撃しようともしないで消滅したのだ。ただある日突然その存在がMAGIから消え失せたのである。
その後大掛かりなファイルの確認が行われたが、そこには何の形跡も見い出すことが出来なかった。この事態に際し、様々な意見が提出された。その結果、使徒の再出現によって活性化されたため、再び自己進化プログラムにかかって自滅したのだという結論が導き出された。活動再開とともに殲滅。これで、一つの難題が終わったのだと人々は考えたのだ。赤木リツコを含めたネルフのスタッフが、新第壱拾壱使徒の消滅の意味を知ることは出来なかったのである。
新たな大波は、すぐそこにまで迫っていた。
to be continued…