第2話 後編

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戻れない日々   第2話 後編    赤い羽

2006/04/19 初稿
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次の作戦に備えて、訓練計画を検討していたアスカの元へ、複雑な顔をしたミサトが
姿をあらわす。

「ちわ~す、元気にやってるかな」

「ちょっと、ミサト、あなたどんどん親父臭くなってるわよ」

”いいから、いいから”と、言いながら横の席に座ると、急に真剣な眼差しになり、小声で
アスカに話し出した。

「調査部から応援要請がきたわ」

「それって、例の組織のこと?」

今、小声で話さなければならない件といえば、あのことしかない。

上層部からの命令で公式上は終結したことになっているが、部隊としては納得が
いかず、極秘に調査を進めているからだ。

「そう、例の組織が人材を募集しているの。そのための人を派遣して欲しいって
ことなんだけど」

ミサトにしては、歯切れの悪い言い方に、アスカは話の筋がだいたい読めてきた。

「つまり、あたしに行け、ということでしょ」

「まあ、そうなんだけど」

言い当てられて、決心がついたミサトは、事の詳細をアスカに説明する。

例の組織の構成員と思われる人物が、極秘裏に人材を探している。

その人材の条件は、神経伝達系に知識をもち、イメージ化したデータを解析できる
スキルを必要としている。

特にイメージ化について重要視しており、被験者としての能力も合わせて
要求していた。

「なるほどね。で、あたしに行って欲しいってわけだ」

「でも、単独の潜入捜査なのよ。連絡員は確保するけど、全くと言っていいほど
支援は無いわ。危険すぎるから断ってもいいのよ」

「でも、他に人いないんでしょ」

アスカは、ミサトが心配する気持ちが痛いほどありがたかった。

しかし、誰かがやらなければならないのならば、最も適した自分が逃げているわけには
いかない。

協力してくれるみんなの為にも、そして幸せをつかもうと頑張っている多くの人たちの
為にも、自分が行くのは必然だと、アスカは答えていた。

アスカの決心を聞いて、ミサトは説得を断念した。

本筋から言えば、行かせる立場にいるはずが、私情を絡ませているのは
自分の方だからだ。

ならば、できうる限りの準備をしてやろう。アスカが無事帰ってこれるように

そう、心に決めて、ミサトは打ち合わせを始めた。

とりあえず、調査部へは引き受けることを打診して、後に残る細かな準備を始める。

まず、担当している小隊を一時解散して、本隊編成に任せることにする。

この辺はミサトがうまくやってくれることになった。

次にアスカは、訓練中の負傷により長期入院ということにして戦列を離れることにした。

公式には捜査していないことになっているので、潜入している間、アスカの軍務を
解除しなければならない。そのための偽装だ。

あと、アスカ自身は、調査部のメンバーに付いて潜入のレクチャーを受ける。

銃火器の取り扱いについてはプロだったが、潜入時の取り決めや情報の受け渡しに
ついて、必要な知識や技能を速やかに習得する必要があった。

ここでも、アスカは優秀さを発揮し、普通ならば最低3週間必要とする訓練を、きっかり
1週間で終らせた。

作戦発動の前日、ミサトはアスカを呼び出して小さな箱を渡した。

「ミサト、なにこれ?」

「いいから開けてみてよ」

中には大きな赤い宝石をはめたピアスが入っていた。

「へえ、ミサトがプレゼントなんてめっずらしい!明日は雨かしらねえ」

「残念だけど、それは技術部よりの特注品よ」

アスカの憎まれ口にも動ぜず、優しい顔をしてミサトはピアスの説明を始める。

「この宝石の部分を後ろから押してはずすと、3秒後に宝石が炸裂弾になるの。
半径1m以内の対人用だから、装甲には効果がないけれど、いざって時に
役立つと思うわ」

「ミサト・・・」

技術部からなどと言っていたが、本当はミサトがねじ込んで無理やり作られたのだろう。

わずかでも生還する可能性が高くなるように、心を配ってくれるミサトに、アスカは
心からの感謝を感じていた。

「・・ア・・ガト・・」

「え、なあに?」

「・・・なんでもないわ」

照れくさくて、うまく礼がいえなかったアスカだったが、必ず帰ることを約束して
翌日、駐屯地を出発して行った。

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川沿いの小さな公園に子供達がはしゃぎ回って走ってゆく。

ベンチには恋人同士だろうか、仲良く並んで座った男女が楽しげに会話を交わしていた。

市場も近い為、行き交う人々が荷物を抱えて通り過ぎてゆく。人通りの多い休日の午後

ここの季候は、まだ寒く、遠くの山々には雪が積もっているのが見える。

公園の入り口から3番目の石像の前、指定された場所にアスカは立っていた。

・・・もう直ぐ時間ね・・・

何気ないふりをして辺りを見回す。

「よう、なにしてるの?」

通りかかった若い男が声をかけてきた。

これまでも幾度となく声をかけてくるナンパ師どもに苛立ちを感じながら、表向きはやんわりと
返事を返す。

「ごめんね。人待ちなの」

「まあいいじゃない。おいらと一緒にもっと楽しい場所へ行こうよ」

・・・ク、しつこい!!・・・

もう約束の時間になるのに、こんな奴に引っかかっては目的の人物はいなくなってしまう
かもしれない。

「あんたねぇ。あたしは・・・」

声を荒げようとした目の前で、

若い男は、ウサギの耳のように頭の上に手を上げて、ウインクしながら”時間だよ。
アリスちゃん”と告げた。

そう、約束の場所と時間にエージェントが現れたのだ。

「アリス・ツェッペリン・・・だよね」

「・・・・・・・そうよ」

だれだ、こんな名前にしたのは?、いくらあたしが美人だからって、もう”アリス”という
年頃じゃない。

そういえば、あの中国人もどきがミサトに”かわいいやつがいいな”なんて言ってたっけ。

あんちくしょう、帰ったら絞めてやる。

声をかけてきた男を見ると、ちょっとクセのある明るい金髪に、まだソバカスが残る顔、

あたしより少し下だろう、まるで不良少年って感じだ。

軽薄そうなルックスと受け答えを、どこかで見たような気がするのは気のせいだろうか。

「あなたは?」

「そうだなあ。愛するルー君と呼んでくれればいいよ」

あたしのムっとした表情を見て、ルーと名乗った男は”親愛のジョークなのに”とぶつぶつ
言いながら振り返って、先を歩きだす。

「ちょっと、どこへいくのよ」

「付いてくれば分るさ」

ポケットに手を入れ、安タバコを口にくわえて、彼は町の中を歩いて行く。

その後を少し間を空けて付いて行くのだが、

黒い毛皮のロングコートを着たあたしは、町のチンピラにつかまった、いいとこのお嬢さんに
みえるらしい。

すれ違う人々が気の毒そうに、あたしたちを眺めて行く。

「あんた、もう少しシャキっとできないの。目立ってしようがないじゃない」

「おおっと、こりゃまた、かわいい顔してきついお言葉」

あたしの苦情に振り向いて、へらへらして答える態度を見て、一気に気力がうせる。

「・・・・もういい。さっさと行って」

あたしは、さっきよりさらに間を空けて、彼の後をついていった。

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彼に案内されたところは、意外にも普通の研究施設だった。

ちゃんとした企業で特に変なところはない。

入所の案内と業務内容を聞いたところ、外部から依頼の研究を行っているとのことだった。

つまり、黒幕はお金でこの企業に自分達の研究をやらせているのだ。

もっとも関係者は皆無じゃあないだろう。要所〃には人を配置して監視しているに

違いない。

ちょっと拍子抜けしたが、反って誰が敵か判らない分、難しいかもしれない。

・・・しばらくは様子見ってことか・・・

明日から、あたしは技術要員として、業務に従事することになった。

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最初は、技術要員として配属されたはずだが、最近はもっぱら被験者として
イメージ伝達のテストばかり行っている。

・・・イメージ伝達率の向上の実験か、これってシンクロと同じことよね・・・

シンクロは、心を開放しなければできないことを身をもって知っている
アスカは他の被験者より遥かに高いイメージ伝達率をマークする。

技術部門のチーフは、どうしてこんなに違うのか、頭をひねっているが
心の問題を口でうまく説明など出来ない。

今日も、朝から新しいシステムのテストが行われた。

実験中、フィードバックに異常が発生し、強制的に回路が切断される。

神経伝達素子の不良らしい。

被験者だった自分は休息が与えられ、技術スタッフが総出でシステムの復旧に
駈けずり回っている。

・・・チャ~ンス・・・

チーフのPCが立ち上がっている。

辺りに誰も居ないことを確認して、クラッキングコードをインストールする。

最初の危険な瞬間だ。

・・・早く終わって!・・・

わずか数十秒のはずが、何十分にも感じられる。

クラッキングが終わりデータが吸い出された。これでチーフのアカウントは
あたしのものとなった。

部内の技術報告レベルに留まるが一歩調査が進むだろう。

ここで無理をする必要はないと考え、自然な動きを装ってスタッフルームを後にする。

途中、今日の実験は中止で帰宅してもよいと連絡をうけた。。

さて、そうなれば今日の予定はがら空きだ。

いっしょに暇になったオペレータの女子職員と町へでる相談をしていたところ
後ろから、どこかで聞き覚えのある声がする。

「ア~リ~スちゃん」

「なにやら、背筋に寒気が走るし悪寒もするわ。風邪かも知れないわね。」

「あれえ、そういう無視の仕方するんだ。冷たいなあ」

あたしの後ろで、”冷たい、冷たい”と繰り返すアホに耐えかねてとうとう
振り返ってしまった。

「あんたね、なんでこんなところにいるのよ」

「だっておいら、ここの職員だもの」

胸のIDカードを見ると、たしかに本人だ。所属は・・・保安部?こいつが?

こんなやつに保安部が勤まるのか?と、考えていた隙に、

当人は、オペレータの子から”アリスさんとどんな関係ですか”と聞かれて
”愛しのルー君なんだよ」と答えていた。

「ちょっと待った。いつから”い・と・し・の”が付くようになったのよ」

「え~、公園で待ち合わせていっしょに入った仲じゃないか」

あたし達が噛み合わない話をしているのを、オペレータの子達は勘違いしているらしい。

”きゃあ”とか”やるう”とか聞こえてくる。

「クウ~、わざと誤解を招く言い方してるでしょう!!」

「へへ、怒った顔も綺麗だねっと」

ダメだ、こいつは根っからのバカで軽薄なナンパ野郎だ。

あたしには、こんなやつに取る行動は一つしかない。

ブン・・・

「おっとと、おっかねえなあ」

かなり本気で繰り出した平手打ちが空を切る。

・・・こいつ、見かけよりやるわね・・・

”アリスちゃん、またねぇ”などと、ほざいて逃げて行くルーを睨みつけて、あたしは
近くにいた子に”あいつって何者”と聞いてみた。

「ルー君?、保安部の若手でホープって言うと言いすぎかなあ。でも、結構気さくで
人気があるのよ。」

気さく?、あれが?、単に軽いだけじゃないの。

今一納得できない顔をしていたあたしに気づかず、その子は彼について話を進める。

「そうそう、総務の子が、帰りのリニアに乗っていたとき、集団のチカンに会ったんだって、
その時、彼が来て助けてくれたって」

ふう~ん、割といいとこあるじゃん、これは評価に+5ポイントかな。

「でさ、その後、意気投合して、その子と朝まで一緒にホテルで過ごしたんだって」

評価修正、マ・イ・ナ・ス・200ポイント、やっぱり、あいつはナンパ野郎だ!!

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手に入れたチーフのアカウントのレベルは、それほど高いものではなかった。

ともかく、記憶容量の不可視領域にデータのコピーを作って、隙を見ては、
取り出してゆく。

殆どが技術的報告と指示書だったが、中に気になる記述があった。

それは、技術開発の計画書の中で、開発目的の項に時空間の歪曲について
書かれていた。

・・・空間歪曲だけなら分るけど、なぜ時間まで絡めているのかしら・・・

A・T・フィールドで、位相空間の歪曲は確認されているが、時間軸の項まで
影響を与えるほどのファクターがあるだろうか。

それ以上の詳しいことは書かれていなかったので、いち情報として報告に加えておく。

・・・そろそろ、報告を送らなくっちゃね・・・

毎週休日に、あたしは近くの公園へ散歩に出かけて、連絡員へ定時報告を行う。

と、いってもただ単に歩くだけで、無事の報告をしているわけだが、こちらから

連絡事項がある場合は、池に決められた数だけ石を投げ込む。

これで、近日中につなぎから連絡がくるはずだ。どんな経路で来るかは、
その時次第で、どんな方法かもわからない。

翌日、

いつもの通りに出勤してデータのまとめを行っていると、あのバカが顔を出した。

あたしの姿を見つけるなり、するすると寄ってきて、ひとの仕事の邪魔を始める。

「ねえ、アリスちゃん。今夜おいらとデートしない?」

「おあいにくさま、相手には不自由していませんので」

「つれないなあ、おいらとアリスちゃんの仲じゃないの」

「だれが、あんたなんかとの仲なのよ!」

誤解を招きそうな発言に、あたしは席から立ち上がって大声をだしてしまった。

オペレーティングルームではルーとあたしの漫才に、あちらこちらで
忍び笑いが起こってる。

思わず立ってしまったことに恥ずかしさをおぼえて、急いで座りなおすが
ルーのバカは”デートしようよ”と、人の周りをうろついて繰り返す。

「あんたには総務だかに彼女がいるんでしょ。そっちを誘えばいいじゃない」

「ええっ、おいらに彼女なんてアリスちゃんしか居ないのに」

白々しい答えを聞きながら、あたしは頭の中で”こいつはアホ”を30回くらい唱えて、
冷静さを保っていた。

ふと、意地悪な考えが浮かんできて、内心にやりとする。

・・・ふふん、二度とまとわりつかないようにしてやる。・・・

「そう、分ったわ。そっちが誘うんだから、あんた持ちってことで、場所は
こっちで決めさせてもらうわよ。それならいいわ」

”若くて生きのいい男が相手なんだから年上が払うべきなのに”なんて、
ぶつくさ言っていたが、強引に、こっちのプランを飲ませる。

後で、連絡することを約束して部屋から追い出すと、周りの子たちに
この辺で、いっちばん、ゴージャスで、おいしくって、高価で、敷居の高い店を
リストアップしてもらい、予約を入れた。

「ふふふ、万が一、ルーが逃げ出しても、後でキッチリ取り立ててやる」

こぶしを握って、宣言するあたしの後ろで、オペ専の子たちが拍手喝采していた。

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PM7時に車で迎えに来るよう、ルーに伝えると、急いでマンションに帰り、
着る物を物色する。

UNに入隊する前は、けっこう華やかな装いも持っていたが、最近は
全くといっていいほど、購入していない。

むしろ、実用性に富んだジーンズとか、ジャケットやパンツばかりだったが、
幸運にも、一昨年に買ったフォーマルドレスが見つかった。

これは、ヒカリの結婚式に出席するつもりで購入しておいたのだが、結局
袖を通すことなく、しまってあった物だ。

持ってくるつもりは無かったのだが、間違って入っていて、そのままに
してあった。

・・・ヒカリ、あんたにはいつも助けられるね・・・

心の中で感謝して袖を通し、ルーのカモが来るのを待つ。

・・・さあて、どんな格好で来るつもりかしら。
この場で逃げたら職場中に言いふらしてやる。・・・

”アリスちゃん、お迎えにきたよ~”と、相変わらす軽い口調でルーが
インターフォンを鳴らした。

・・・ふ、女性を迎えに来るのに、まさか花束のひとつも持って来ないなんて、
あり得ないわよねぇ・・・

何か落ち度があれば、逐一ネタにしようと期待しながら、ドアを開ける。

と、ドアの向こうには大きなバラの花束と、正装したルーが立っていた。

全くの予想外の展開に唖然としているあたしをルーは、車までエスコートして行く。

車は、黒塗りのベンツだった。

「さ~て、アリスちゃん、どこまでいけばいいのかな」

「え、あ、ああ、ワイブル通りのアレニウスって店にお願いするわ」

”ヒュー、豪華ぁ”と一声入れて、ルーは慣れた感じで車を走らせる。

・・・ク、さすがにナンパ慣れしているだけのことはあるわ。
キッチリつぼをついてくるじゃない・・・

こんな調子でエスコートされれば、少しでも気のある子なら、そのまま行って
しまうのは無理も無い。

店に着くと車をボーイに任せ、すかさず手をとって中へ案内して行く。

なるほど、ここいらで一番の高級な店だ。ワイン、料理、ショウ、いずれも
すばらしい出来栄えだ。

調度品も豪華なら、来ている人も紳士淑女の集まりだ。あたし達が
一番若いようだが、それでもサービスに差をつけない。

一流の自負をもって接客を行っている。

久しぶりに優雅な時間を満喫している自分を感じながら、ルーへ本題を
切り出す。

「あんた、どうしてあたしをさそったの?」

”だって恋人なんだもの”という、たわごとを切り捨てて、再度尋ねると、
”昨日、アリスちゃんが呼んだんだよん”と答えた。

あたしは急に顔がこわばった気がした。

・・・じゃあ、あんたが・・・

「ほらほら、そんな顔したら美人が台無しじゃん。笑って、笑って」

軽い口調で、ふざけるルーの目が笑っていない。やはりルーがつなぎなのだ。

「じゃあ、昨日のお礼はどうしたらいいのよ?」

受け渡しの意味を含めて、あたしはルーに問い掛ける。

”一晩一緒に”と言いかけたルーを無言で睨みつけると、”帰りの車に乗る前に”と
小声で告げてきた。

「車は借り物だから、中ではダメだからね」

了解、車内は安全が確保できていないのだろう。

いつ連絡がくるか分らなかったので、報告用のデバイスは肌身離さず持っている。

そうと分れば、後はここの雰囲気を楽しむだけだ。

相手がこいつってのが少々不満だが、今日のスポンサーなのだから
我慢しといてやろう。

世間話をしている内に、生まれに話題が移っていった。

「へえ、あんた、ドイツ出身だったの」

「そうさ、ドイツは移民が結構いてね。おいらの両親も移民だったんだけど
あの頃は動乱期だろ。
移民なんか真っ先に目の敵さ。暴動に巻き込まれてふたりとも
あの世行きってやつさ」

「ふ~ん、あんたも結構苦労してるんだ」

「そう、薄幸の美青年なんだおいらは。だからおいらに優しくしてよぉ」

「え~い、寄るな、なつくな、うっとおしい」

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それなりに楽しかったディナーも終わり、帰路につく。

店を出て、さりげなく腕を組む時デバイスをルーに渡す。

これで今日の任務完了だ。

車で送ってもらう間、あたしはルーのことを考えていた。

最初会ったときも思ったけれど、きっと同郷ってだけで、どこか懐かしい気が
するのだろう。

ドイツには余りいい思い出は無かったけれど、それでも故郷には違いない。

こいつもまあ、素行の悪い近所のガキくらいには思えるようになってきた。

帰り際に店から領収書をもらっているところが,せこいけど。

翌朝、

気分のいい目覚めを迎えられた。

出勤の準備をして、バックの中をチェックしたら、妙に財布が薄い。

中を開いてみると、在ったはずのキャッシュがなくなっていて、紙が2枚
入っている。

慌てて読んでみると

『アリスちゃんへ、安給料のおいらにはこの店は高くて払えません。
ということで、今回はアリスちゃんのおごりです。ゆるしてね。
PS.私情で呼び出さないで下さい。愛しいルーより』

と、書かれたメモ書きとあの店の領収書だった

・・・あのヤロウ・・・ぶちコロス・・・

復讐を誓って、残ったメモを握りつぶすが、差し迫った問題があった。

・・・今月、あたしどうやって暮らせばいいのよ~・・・・

すでに気分は最悪だった。

To be Continued.
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(あとがき)

まいどお世話になります。@赤い羽です。

第2話後編です。う~ん、プロットよりだいぶ押しています。

4話って決めた理由が、起承転結で4話としたのですが

このままだと転が大きくなりそうです。それもこれもルー君のせいです。

初期プロットでは連絡員Aだったのに、すっかりアスカとため張っています

彼は私の作品の初のオリキャラです。どんな風に受け取られましたか?

ご感想をお聞かせください。

ではまた。