epilogue:『幸福』

エピローグ
 

 

終章
 

 

物事の終わり
 

 

終局
 

 

 
 

君の目が僕の目 ~幸福~
 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

赤い夕焼け
 

 

静かなる時間
 

 
 

人気の無い場所
 

 
 

丘の上
 

 
 

 
 

 
 

第3新東京市が眼下に広がる静かな丘に二人の影があった
 

 
 

一人は栗色の髪を束ねている女性
 

 
 

一人は6~7歳くらいの黒髪の男の子
 

 
 

二人は丘の上にある、ぽつんとした石碑に立っていた
 

 
 

 
 

SINJI IKARI
 

 
 

 
 

石碑に刻まれているその名は7年前世界を救った人として、
 

人々に語り継がれていた
 

 

 

 

 

 

私は泣いている……

 

ここに来る度にあなたの事を思い出して泣いている……

 

あの後、私は何度も死のうとした……

 

その度に押さえつけられ、猿ぐつわを噛まされ、手足を縛られ……

 

死ねなかった……

 

皆が励ましてくれた、泣いてくれた、強く抱きしめてくれた……

 

けど私の空白は埋まらなかった……

 

貴方以外に埋められなかった……

 

空しかった……この世界が……

 

憎いとは思わなかった……けど消えて欲しかった……

 

 

 

 

ある日……医者から言われたの……

 

お腹の赤ちゃんも殺す気ですかって………

 

泣いた……

 

シンジの子……私の子………私達の子………

 

 

私はこの子の為に生きる………生きてゆく………

 

 

 

 

 

「また、考えちゃったね……」

 

私は我が夫との追憶に涙を流した。

 

「目が見えて嬉しいよ……この丘の風景が見れたから……でも……でも……」

 

まだ時々痛む両目を手で覆った。

 

「貴方と一緒に見たかった……」

 

滴が指の間から溢れてしまう。

叶えられぬ願いに、それを未だに呟く自分に滴が溢れてしまう。

 

 

 

「ママ、どうしたの?」

 

「何でもないわ……真司」

 

「ほんとに?」

 

「うん、ちょっと目が痛いだけ……」

 

「ママ、目が悪いもんね……

 

でも安心してママ、痛いときは目を閉じていて、

 

僕の目がママの目になるから」

 

「!!」

 

私は真司を抱き寄せた。

力強く、絶対に放さないように。

 

泣いた。

 

 

 

 
 

……シンジ……私は貴方のお陰で幸せを手に入れたわ……
 

 
 

一度は無くしたと思ったのに……また貴方に幸福をつくってもらったの……
 

 
 

本当に私は幸せ者ね……
 

 
 

ありがとうシンジ……
 

 
 

……そして……
 

 
 

 
 

……さようなら……
 

 
 

 
 

 

 

 

 
 

子供達は大人になる、全てを背負ったまま
 

 
 

かつて少女だった女性は歩いていく
 

 
 

記憶の積み重ねの為に 
 

 
 

新しき幸福の為に
 

 
 

新しき人生に向かって――
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

『僕の目が君の目』