「気持ち悪い」
あの時のことはよく覚えていない。
ただ、赤い空と波の音、そして誰かがそばにいた。
まだ、意識が朦朧として視界がはっきりとしなかったと思う。
ただ、息苦しく、吐き気がしていた。
あたしは本当に気持ちが悪かったのだ。
誰かがいると思ったとき、あたしは助けを求めて、手を伸ばした。
その人に触れたと思ったとき、息苦しさが無くなった安堵に
意識を失ったのだろう。
気が付いたときは病室の中だった。
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戻れない日々 第1話 赤い羽
2006/04/13 初稿
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サードインパクトから一週間たったが、あたしはまだ病院のベッドの中にいた。
いまでも、あの事を話題にしたニュースが流れている。
一体あの時に何が起こったのか。
多くの人は、赤い目の少女を見た、と言っている。
極まれに、赤い海に漂っていた、と言う人もいる。
どこかの学者さんは、大規模な集団催眠だと主張しているが、
第3新東京市では通用しない。
かつては、首都機能移転を目指して整備されたここも、零号機の自爆による、
表層都市の崩壊や戦略自衛隊のN2爆雷攻撃で壊滅的ダメージを受けていた。。
それでも、地下のネルフ本部は持ちこたえていたはずが、今はメインシャフト
近辺を中心にぐちゃぐちゃの状況なのだ。
あのとき、ジオフロントは宇宙へ引き出され、黒き月の核となったと、
見舞いに来た日向さんは教えてくれた。
そして、一旦はみんなLCLになってしまったんだと。
あの女、いや、綾波レイは、リリスとなり、アンチA・T・フィールドを展開して
人類を、生命のスープに変えた。
いまこうして、人類が前と変らない姿でいるのは、依り代として生命の樹を
得たシンジが、そう願ったから、ということらしい。
あたしの記憶とは、ちょっと違う気がするが、あの時のことを詳しく覚えている
わけでもないし、直前まで目撃した人の言うことだから間違いないだろう。
戦略自衛隊の突入で、多くの職員が殺されたはずだが、なぜか、わずかな例外を
除き、みんな生きていた。
これもシンジが望んだため、起きた奇跡というやつだ。
そんな、ジーザス並の英雄さまは、行方不明だという。
直後に顔を見たという人がいるから、死んだのではないだろう。
どうやら、この病院にあたしを運んできたのは、シンジらしい。
混乱している病院へあたしを運びこんで、しばらく付き添っていたらしいが、
いつの間にか居なくなっていた、ということだ。
あたしは感心のないふりで聞いていたが、シンジが居ないとわかって
正直ほっとしている。。
今のあたしは、あいつにどんな顔して、なんて言えばいいか判らない。
こんな気持ちのまま会いたくなかった。
自分が作った世界で自分から居なくなったのだから、どこか行くところがあったのだろう。
そのうち顔を出す時までには気持ちの整理をつければいい。
あれから一ヶ月、
事実上、ネルフはもう存在していなかった。
再生した人々の唯一の例外として、責任を取るべき人たちが戻ってこなかったのだ。
碇司令、冬月副司令、赤木E計画責任者、そしてゼーレのメンバーたち
彼らは、新しい世界に存在しなかった。
もしかすると、自ら帰ることを拒否したのかもしれない。
次席のミサトやマヤは事情聴取のために拘留されている。
ネルフの技術もリツコが居なければ、維持することさえ難しい。
最大の切り札だったエヴァはもうない。全てが腐敗した有機物の塊となった。
初号機だけは宇宙空間を漂っているらしいが、徐々に地球から離れて行くようだ
人類の今の技術では、取り戻すことはできない。
そのほか、マギは本部が瓦解したときに、電力を断たれてスクラップと化した。
生体コンピュータであるマギは、その維持に常に電力を必要とする。
電気が切れれば、ただのガラクタだ。
ネルフという組織は、持っていた力の全てを失ったのだ。
あんな大惨事からもう半年経つ。
未だに事実解明が進まず、新たな真実が飛び出す度に、テレビが特集を組んでいる。
そんな騒ぎの中、あたしには取り調べもなく、平穏な時間を過ごしていた。。
悪く言えば、単なるパイロットに用はないというわけだ。
あたしたち、チルドレンは未成年ということもあり、非公開事項にきまった。
マスコミに押し寄せられることが避けられただけでもありがたい。
たまに、青葉さんや日向さんが来て、状況を教えてくれる。
今でも、ミサト達の取調べが続いているようだ。
ミサト達に大それた陰謀なんかできっこないのに、なかなか信じてもらえないらしい。
その間、あたしは体を直すことに集中させてもらおう。
サードインパクトの前後、あたしは精神的危機にあって、すっかり体を壊して
しまった。
胸なんか、ずいぶん小さくなってしまったものだ。
熱膨張がなんとかという、やり取りが思い出される。
なんとも子供っぽい感情だったのだろう。何を期待して何に失望したんだろうか。
その時何を考えていたか、今では判らなくなっている。
量産エヴァにやられたフィードバックの回復にもずいぶんと時間がかかった。
内臓も不調をきたして、最初は結構危なかったらしい。
今では、ベッドから起き上がり、病院内を歩いて行けるようになった。
長距離は、まだ体力が戻っていないので無理だが、段々慣らしていけばいい。
昨日、ヒカリから電話があった。
本当に懐かしく、涙がにじんでしまった。
疎開先で無事に過ごしている。そのうち第2新東京市に引っ越すそうだ。
旧ネルフの職員の殆どは、日本政府が受け入れて、第2新東京市に
住居を移すとのことだ。
聞こえはいいが、おそらく監視目的だろう。
C級以上の職員には取り調べと背後調査が行われている。
あたしの背後関係は旧ネルフに資料があるし、本人に聞くよりはミサトあたりに
聞いたほうが早いから、なにも言ってこない。
トウジ達もそのうち帰ってくるかもしれない。そう話すと、何かごにょごにょ言って
いる。
ちょっと問いただすと直ぐに白状した。何のことはない。
今でもトウジとは連絡を取っているし、そっとデートも重ねているというわけだ。
ヒカリのシュミは理解できないが、トウジの人柄は信頼できる。
”ごちそうさま”というと、電話の先で絶句している、その時のヒカリの顔を
想像して、可笑しくなった。
久しぶりに、心から笑った気がする。
そのうち見舞いにも来てくれるそうだ。
トウジとの二人に、あてられるかもしれないが、その時は大いにからかってやろう。
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今日は、ミサトの旅立ちだ。
永らく、ここ旧ネルフで取調べを受けていたが、疑いも晴れて、UNに復帰、
新任地へ配属となったのだ。
ミサトはネルフのNo.4として厳しい査問を受けていたが、
加持さんの残した資料と日本政府に報告されていた内容、そしてミサトが
独自に調べたことを検証して、ミサトには何も知らされていなかったことが
立証された。
サードインパクトの大きな被害は第3新東京市だけにとどまっていて、
本来UNも使徒対策としてミサトを配置したのだから、使徒がらみの被害で
ミサトを罰することはできない。
また、人類補完委員会は国連内の組織だったから、ミサトを切り捨てると自分達にも
疑惑の目が向けられることを恐れたらしい。
相変わらす、政治的打算の産物だ。
でも、ミサトが無罪放免で返ってこれたことは、本当にうれしい。
多くの人があたしのそばから離れていった。
青葉さんもマヤもネルフを辞めていった。
青葉さんは夢を実現するんだと言っていた。ミュージシャンを目指すそうだ。
マヤの行方はわからなかった。誰にも何も言わずに去っていった。
日向さんはミサトと一緒でUNへ復帰する。
加持さんもいない今、ミサトもそろそろ日向さんの気持ちに気づけばいいのに、
最初っから勘定に入っていないようだ。
ちょっとかわいそうだが、日向さんに振り向くミサトは想像がつかないから
それでいいんだろう。
かく言うあたしも、来月にはここを離れる。
第2新東京市の高校へ進学するためだ。結局あたしはドイツに帰らなかった。
帰っても、何をすればいいか分らなかったし、親子ごっこの続きをする気には
なれなかった。
ママが嫌いなわけじゃないが、そうして自分を偽って暮らすことがイヤだったのだ。
ミサトと相談して、引き続き保護者ということになってもらった。
ミサトは任地へ赴くから、第2新東京市で一人暮らしとなる。
その代り、懐かしい友人も帰ってきた。ヒカリとトウジだ。
二人とも、あたしと同じ高校へ進学する。
ヒカリはともかく、トウジはよく入学できたものだ。
あたし達が行く高校は、それなりにレベルが高い。
あたしが知っている限り、トウジの成績はそんなに芳しくなかったはずだ。
きっとヒカリが死に物狂いでネジを巻いたんだろう。
同じクラスになれれば、うれしいがそこまで望むのは無理というものだ。
ケンスケは疎開先の高校へ進学したそうだ。今でもトウジとは連絡をとっている。
少しさびしいが、新しい生活で、それぞれ新しい出会いがあるだろう。
これから始る3年間で、あたしが進む道をじっくりを考えよう。
大人から見れば短い時間かもしれないが、今までのあたしの人生は、
エヴァだけだった。
その間、捨てたり、傷つけたり、失ったものがたくさんある。
エヴァやキョウコママの呪縛から解き放たれた今、何をすべきか。
ゆっくり考えて行こう。
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サードインパクトから4年目、
気候も徐々にではあるが、セカンドインパクト以前に戻ろうとしていた。
日本でも冬には雪が降るようになり、雪景色をロマンチックなどと考えて
眺めることができるようになった。
大抵そんなことを思うやつは、外出したときに後悔する羽目になるのだが。
あたしは、ドイツでイヤというほど雪を経験していたので、厄介だなと思うだけで
特に支障は無かった。
今年の正月は久しぶりにミサトが帰ってくる。
UNへ復帰してから、たまに仕事で日本を訪れたとき、わずかでも様子を
見に来てくれているが、休暇でいっしょに過ごすのは久しぶりだ。
きっと、この前送ったUNの志願書について説得するつもりなんだろう。
姉バカというか親バカというか、あたしには才能を活かして平凡に幸せになって
もらいたいと思っているのがありありとわかる。
ミサトだって自分の意志でUNに入隊したくせに、自分の事は棚に上げて、
説教でもするんだろう。
そんなことする間があったら、ダイエットにでも精をだせばいいのに。
「おっひさ~、元気にしてたっかな」
「ミサトったら、また太ったんじゃない」
「チッチッチッ、それは言わないお約束でしょ」
ミサトのやりとりは昔と変わらない。私とミサトはどこかしら似ている気がする。
変わった事といえば、あのミサトが太ったのだ。
やはり三十路を過ぎて、ビールと高カロリーの生活で太らないわけが無い。
それもいきなりリバンドして、今ではナイスバディというよりビヤ樽といったほうが
よく似合う。
昔を知る人には別人に思えるだろう。
似てるといっても、ああいうことにだけは絶対にならないよう気をつけよう。
「アスカ、本当に後悔しないのね」
「あったり前でしょ。あたしに後悔なんて似合うわけないじゃない」
案の定、帰って来るなり、話題はそれだった。
いろいろエグイことも聞かされたが、結局、あたしの決意は変らなかった。
最後に、入隊する理由を聞かれたが、別段たいしたことは考えていなかった。
世界中の平和なんて無謀ことは考えもしない。
人間とは些細なことで争い、殺しあうものだ。
ただ、明日という日を信じたいだけだ。
たとえ自分がいなくても歴史が進んでゆく。
人というものが無くなってしまう、そんなことが二度と起こらないよう、
見守るつもりだった。
少しだけ、うまくは言えないけれど思うことがある。
「そうね、強いて言えば、最後に残ったプライドと感謝かな」
「それ、どういうこと?」
ミサトがわからないのも無理はない。あたしだってよく分らないのだから。
幼い頃、決心したことで、唯一誉めてあげたいと思うのは、自分が世界を
救うんだと思って、努力したことだった。
思い上がりもはなはだしい行為だったが、そのための努力は無駄ではなかったし
自慢できると思う。
また、そんな風に考えられるようにしてくれた、周囲のみんなに感謝している。
特にあいつには、あたしの目の前から居なくなってくれたことを感謝したい。
妙な考えだが、おそらく居れば、あたしはいつまでも過去にとらわれて冷静に
物事を考えられなかっただろう。
最悪、危害を加えたかもしれない。今なら少しは自然に接することもできるだろう
そんな人達の好意と犠牲があって、支えられた世界をちょっと見守りたいだけなのだ。
そのような、理屈では説明つかないことを考えて、ちょっと苦笑ぎみに笑うと、
不思議そうな顔をしていたミサトも何かを察して、優しく慰めるように笑って言った。
「じゃあ、アスカも私の後輩になるわけだ」
「え~、ミサトの後輩なの~、それはちょっと考え物かなぁ」
「なぬ~、そんな、なまいきな事を言う口はこいつか」
「ちょ、ちょっとミサトったら」
暖かいけど、どこか寂しい時間が流れてゆく。そんな正月になった。
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UNの新兵養成所はアフリカの砂漠地帯にある。
高校を卒業して、身の回りの整理を行い、UNの人員募集を待って仮入隊する。
仮入隊して最初の頃は、規律と体力の鍛錬ばかりだ。
子供のころから受けている軍事訓練で、スピードには自信があったのだが、
耐久力は普通の人と変らなかった。
いや、その軍事訓練さえ、子供向けの甘いものだったと思い知らされた。
いかに甘やかされて育ってきたのだろう。
ネルフはエヴァを操縦する為に、イメージさえつかめればよいと考えていた。
重要なのはシンクロ率とイメージ能力。
そのため、銃でも分解組立ができるようになれば、後はイメージ上で
鍛錬すればよかった。
実際には、砂が入ったり、錆びが浮いたり、暑かったり、冷たかったり、
どんな状況下でも、殆ど無意識で組立分解が出来なければ、戦場では役に
立たない。頭で考えている余裕はないのだ
勿論、スピードと正確さも重要だ。その間、意識は周囲を警戒する。
頭でっかちの生意気な子供だったあたしは、自分が一番と考えている
サル山の大将に過ぎなかった。
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約1年の軍事教練を終えて、晴れてあたしはUNに入隊となった。
新兵の配属だから、どこかのPKF活動に行くのかと思っていたが、いきなり
対テロ部隊に配属とは驚いた。
聞けば、養成所の成績が飛び抜けてよかったことと、引っ張ってくれた人が
いたそうだ。
誰かと尋ねたところ、対テロ実行部隊の前線戦闘指揮官だそうだ
前線戦闘指揮官といえば、現場の最高指揮官だ。
作戦の立案から戦闘指揮まで、この人の指示で動き出す。
その役職を考えたら、誰が引っ張ってくれたか想像がついた。
ミサトだ。
引っ張ってくれたことに感謝すると共に、成績を買ってくれたのだと思うことにする。
プライベートは別にして、ミサトは実力の無いものを引き込まない。
後は、結果を示せばミサトの判断が正しかったことを証明できる。
それを恩返しとしよう。
仮入隊中は外部と連絡が出来ない。
一年ぶりにヒカリに電話を入れることにする。
ヒカリは高校を卒業して、直ぐにトウジと結婚した。
こんな混乱の時代だ。力を合わせて未来を切り開こうとしている二人を、
心から祝福した。
友人達を招いた結婚式には出られなかったが、あとで写真を送ってくれた。
本当に幸せそうな姿に、胸がいっぱいになる。
ヒカリはあたしのかけがえの無い親友だ。ずっと幸せになってほしい。
友人の中で、シンジは相変わらず足取りがつかめないらしい。
結婚式のとき、無記名の祝電と大金が入ったご祝儀が届いたそうだ。
トウジはシンジが送ってきたと信じて心配している。
どこでなにをやっているのだろうか。そろそろ顔を出してもいい頃だろうに。
「・・・はい、鈴原です。」
「もし、も~し、ヒカリ?、あたしよ」
「え、もしかして、アスカ?・・・アスカね」
「久しぶりね。元気にしてた?」
「アスカこそ、あ、ちょっと待ってね。よいしょっと」
ヒカリッたら、なにも結婚したからって、おばさん臭くなる必要はないじゃない。
「なぁに、よいしょだなんて、まだ若いのに」
「アハハ、ごめんね。実はできちゃったの」
「そ、それって、赤ちゃん?」
「うん、今8ヶ月目なんだ」
ヒカリに子供ができた。これはあたしにはショックだった。
同い年のヒカリに子供が・・・
そりゃあ、結婚したんだから、子供が出来ても不思議は無いけど、なんだか
想像できない。
あたしの周りには、行く気がないとか行き遅れとか、いわれている人たちしか
居なかったし、話題にすら上らなかった。
エヴァに乗っていた頃は子供なんていらないと考えていたが、今はいい人がいれば、
結婚や出産をしてもいいと思っている。
ただ、相手がいないだけだ。
ミサトに言わせると、
”そうやって理想を高く持っているから、誰も寄ってこないのよ”と、いっているが、
自分だって結婚しないくせに・・・・・とは言えなかった。
あの頃のことは、今でもミサトの心の傷になっているはずだから。
「アスカ?、どうしたの」
「あ、なんでもない。おめでとう。ヒカリ」
「ありがとう」
少し呆然としてしまったようだ。
そこからは、体が重いだの、肩がこるだの、トイレが近くなるだの、色々な愚痴を
聞いていた。
腰周りが大きくなって、持っていた衣服が全部入らなくなったと聞いたとき、
ミサトのことを思い出して笑ってしまったことを、ヒカリは勘違いしたらしい。
「そんなに、笑うこと無いじゃない。そりゃ、アスカはそういう心配はないけどさ」
「・・・あぁ、そうじゃなくて、あたしの保護者を思い出してね。そんなことより、
丈夫な子供を産むためなんだから、そんなことを気にしちゃダメよ。
なんなら、あたしが新しい服をプレゼントするわ。サイズを教えてちょうだい」
「え、そんなのいいわよ。でも、生まれても元にもどらなかったらどうしよう」
「なにいってるのよ。そういうことは考えないの!。あたしだって、
パフェを目の前にしたら、体重のことなんて考えないわよ」
「アスカったら」
「まあ、あたしがウェストや体重のことを心配しだしたら、この世の終わり
なんだから、そういうことが無いうちは、ヒカリも大丈夫よ」
「アスカ、・・・元気づけてくれて、ありがとう」
「お礼なんて無しよ、親友でしょ。違う?」
「・・・・」
あらら、電話の先で泣き出してしまったようだ。
ト・ウ・ジ!あたしの親友を不安にさせて何やってんのよ。!!
今度会ったら、左右に一発づづ入れてやる。
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対テロ部隊の指揮官はやっぱりミサトだった。
一口にテロといってもピンからキリまである。民族間の紛争から、独裁者の抵抗まで
数えればきりがないほどだ。
仮にも国連が出張るのだから、あたし達が担当するのは、国家をまたがった
テロ行為だ。
サードインパクト後、数々の宗教団体や秘密結社が生まれては消えてゆく。
終末思想や、神を名乗る狂信者達はいつの時代もいることはいた。
彼らが自分たちの範囲で何をしようとそれは勝手だ。
だが、望みもしない人を巻き込んで自分の理想に合わせようとしたり、
道具の様に使い捨てることは許されることではない。
その行為を行った最大な組織は、ゼーレであり、ネルフだった。
また、そういう行為が可能であると一例を示してしまったのだ。
裏で国家の支援を受けた秘密結社なども厄介な相手だ。
地道なスパイ活動は、別の部隊が担当していて、あたし達実戦部隊は、
いつも危険な突入作戦を強いられる。
国家の支援を受けているから装備も充実していて、こちらに多大な損害を与えて
くれる。
幸運にして、あたしが受け持つ小隊から戦死者はでていない。
おかげで、勝利の女神様扱いになっているようだ。
ミサトは、”女神様というよりは大魔神よ”と言っているが、何のことだろう。
こんど、日本に行く機会があったら、調べてみよう。
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今日、ある組織を強襲した。
組織自身はたいしたことがなかったが、ネットワークだけは膨大で、どうやら
もっと大きな組織の末端だったらしい。
あたしは、そこでとんでもないものを見た。
「ちょっと、ミサト、こっちへ来て」
「なに~、いい男でもいたぁ?」
え~い。能天気なことを言ってる場合じゃないのに。
「つまんないこと言ってないで。早くこっちにきてよ」
ミサトが指揮を副官に任せて、中に入ってくる。
突入時に使用した、指向性爆薬のせいで、壁の中央が破壊されて、その裏に
隠されていた機器が露出していた。
その機器を見て、ミサトの顔色が変る。
「ミサト、これって・・・・・」
「ええ、間違いないわ。これはエントリープラグの一部よ」
そこには見覚えのあるユニットが置かれて、表には『2020 EVANGELION』と
記されていた。
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To be Continued.
作者暦 1ヶ月未満の@赤い羽がお送りします。
わずかなりともレベルアップを目指しておりますので、ご感想、ご批評等をお願いします。