第八話 あなたの為に・・・

シンジは夢を見ていた。

「私と一つになりたいの?それは凄く凄く気持ち良いことなのよ」

「私と一つになりたいの?それは凄く凄く気持ち良いことなのよ」

「私と一つになりたいの?それは凄く凄く気持ち良いことなのよ」

アスカ、レイ、ミサトと、三人が交互に出てくる夢だった。

そしてそれは、前戦いの時にディラックの海の中で見た物と同じだった・・・・・

 

「そうじゃない、僕はそんなつもりなんて無いんだ!一つになんてなりたくない!ただ、守りたいだけなんだ!!」

 

夢の中で叫ぶシンジ。

それは前の戦いの時には見せた事もないほど、真剣で切実な願いだった。

「「「私と一つになりたいの?それは凄く凄く気持ち良いことなのよ」」」

 

「やめろーー!!」

 

ガバッ

 

「はぁ~、はぁ~、はぁ~、はぁ~・・・・」

シンジが目を覚ますとそこはいつも通りの自分の部屋だった。

「な、何であんな夢を見たんだ・・・ぼっ、僕は・・・・」

ベットから起きあがり、いつの間にか握りしめていた拳を見つめ、シンジは項垂れていた。

その時、シンジの部屋の襖が開く気配がした。

「シンジ・・・・」

「アスカ!」

「どうしたの?いきなり大声出して」

アスカはシンジが目覚めた時に出した大声を聞いて、シンジの部屋に来たのだった。

「ううん、何でも無・・・」

がばっ

アスカはシンジの言葉を遮り、ベットでうつむいているシンジ抱きついた。

「シンジ、私に隠し事はしないで、私とシンジ、心で繋がってるから絶対力も使えるのよ。
それにシンジはいつも私を救ってくれる、
だから私もシンジを救ってあげたいの・・・

アスカの切実な心の叫びを聞いたシンジはそっとアスカの髪に手を回し、優しく梳くと先ほど見た夢の内容をそっくりそのままアスカに話した。

 

「ふ~ん、そうなんだ・・・」

「うん」

シンジから夢の話を聞いたアスカは何事か考えると、シンジに向かって微笑む。

「ねえ、シンジ、私にも原因は分からないわ。けど、これからの対処法なら知ってる」

シンジの夢の原因が次に現れる使徒のせいなのか、それともその他に原因があるか分からないが、シンジが苦しむ姿を見たくないアスカが自分に出来る事を考え、苦しいのであればせめて自分が・・・・

「えっ、ゆ、夢の事だよ。対処法なんてあるの?」

「いいから、私に任せる!」

「う、うん」

シンジに無理矢理に言う事を聞かせる。

「じゃ、じゃあシンジ、ベットに横になって、腕を横に伸ばして・・・」

シンジに命令しながらもちょっと頬が熱くなることを自覚したアスカ。

「分かったよ。こう・・・でいいの?・・・」

半信半疑ながらアスカの言う事を聞くシンジ。アスカは頷き・・・・・そして、

 

ドサッ・・・

 

「わっ!アッ、アスカ、どどどうしたの?これが対処法なの?」

シンジはいきなり自分の腕を枕にして、自分を見つめるアスカに動揺した。

「そうよ。一人で寝るとおかしな夢を見るんでしょ。だ・か・ら、私が一緒に寝てあげる・・」

シンジの事をからかっている様に言うが、ホントはシンジと同じベットで寝れてうれしさ全開のアスカだった。

「そそそ・・」

「良いから寝る!」

シンジの言葉を遮り、そう言うとアスカは目を閉じて、夢の世界へと旅だった。

シンジも最初は隣にアスカが無防備に寝ているものだから、ちょっと慌てたが自分の為に色々考えてくれるアスカの優しさを思い出し、そしてアスカの事を包み込む様に腕をアスカに回すと、夢の世界へと旅だった。

その後シンジが夢に魘される事無く朝を迎えるのだった。

 

「ふぁ~あ」

今日に限って早起きしたのは、そう、自称二人の保護者!葛城ミサト三佐だ。ネルフで今日は朝一から碇指令参加のブリーフィングがある為に一人で起きたのだ。

 

バシバシッ

 

眠気を取るために頬を軽く叩いてみるが、昨日飲んだビールが抜けるわけも無く、シャワーを浴びることにした。

「あの子達だけに苦労させられないものね・・・」

そう言ってリビングに出る。

「あれ?・・・」

リビングに出たミサトは何故か奇妙な感覚に襲われた。

そこはミサトのマンション、いつもと同じように見えても、違うところは感覚的に分かるのだろう。

「・・・・・・・あっ!!」

ミサトが気が付いたのはアスカの部屋だ。いつもは閉めっぱなしにしている筈のアスカの部屋の襖が少し開いていた。

「なんだこれか・・・」

ミサトは女の子の部屋を開けっ放しにする訳には行かないと襖に近づき閉めようとした。

「あっ・・・」

アスカが居ない。アスカがこんな朝早く起きるわけ無いと思ったミサトはもう一つの部屋へと向かった・・・・

 

がらっ、ばんっ・・・・・

 

ミサトは見た!一つのベットで二人がお互いに重なり合うように、そして守りあうように寝ている姿を・・・

「な、な、な、なっ!!」

言葉を失うミサト。

「うん・・・・・」

目覚めの良いシンジはミサトが勢いよく開けた襖の音で目が覚めた。そしてシンジの視界に入った言葉を失ったミサト。

「おっ、おはようございます。ミサトさん」

顔面蒼白のミサトにいつもと変わらない挨拶をするシンジ。

「どうしたんですか?ミサトさんなんか顔色が悪いんですけど、どこか体の具合でも・・・?」

シンジの声にミサトはベットに向けて指さす事で答えた。

しんじは 不振に思ったがミサトの指さした先を見る。

「うにゅ♪シンジ~」

シンジがミサトの指さした先・・・・ベットの横には昨日の夜から寝ていたアスカが居た。

ミサトの顔面蒼白の理由が分かったシンジは額にさーっと冷や汗が出てきた。

「ね、ねえシンちゃん・・・・これ、どういう事・・・?」

確かにシンジとアスカはミサトも認める相思相愛の中だ。

しかし、中学生の二人には限度があるだろう特に自分が居る時は、そう思ったミサトが震える声でシンジに尋ねる。

「あっ、いや、あ、あの・・・・」

「もっと~、シンジ~♪むにゃ・・」

言い訳をしようとしている時にアスカの悩ましい声。シンジはさらに冷や汗が出てくる事を自覚した。

「ね、ねえ、シンちゃん、最後まで行っちゃったの?」

震えている・・・怒りに震えている声でミサトが聞く。

シンジはミサトの最後と言う言葉に顔を赤くしながらも首を横に思いっきり振り否定する。

「そ、そんな・・ささ最後までだなんて、ぼぼ、僕とアスカはそそそんな仲になんてなな、なってないですよ」

身振り手振りで言い訳をするシンジ、しかし、そんなどもった言い方ではミサトを説得出来るわけもなく・・・

「ふ~ん、そうなんだ。そう分かったわ!これでも二人の保護者なのよ。これからの事は私に任せて!!」

そう言うとミサトは部屋から出ていってしまった。

「あっ、ちょ、ちょっとミサトさ~ん」(T_T)

二人の仲を全くもって勘違いしたミサトをシンジは追い掛ける。

「ミ、ミサトさん。ちょっと待って下さいよ。ちゃんと説明を聞いて下さい!」

シンジが布団をはね除け、ミサトに追いついたのはシャワー室の入り口だった。

「ねえ、シンジ君。ちゃんとアスカに優しくしたの・・・って、アスカのあの寝顔見れば一目瞭然か・・」

シンジが追いすがって慌てている様子に落ち着いて答える。

確かに二人とも中学生だが、サードインパクトまで生き残った二人だ。

サードインパクトの後に体を求め合っていたとしても、不思議では無かったから・・・

「ちょっとミサトさん。本当に僕とアスカは何もしてないですってば!!
ただ昨日は僕が夢に魘されたから、アスカが僕が夢に魘されないように隣に寝てあげるって・・・」

誤解を解くために真剣に訳を話すシンジ。ミサトはそんなシンジをおかしくも真面目に見て、答えた。

「そう、それじゃあ二人は昨日の夜なんにも無かった訳ね。
ふ~良かったわ、もしこれで何かしてたら二人は別々に暮らさなくちゃいけない所だったわ」

パイロットの管理もかねての同居だ。もし二人に何かあった場合、最悪別々の所に住まなくてはいけなくなる。
ミサトとしては二人が付き合う事も、お互いに求め合う事も賛成だった。中学生としての倫理にはかけるとしても・・・

だが、使徒殲滅が最優先である以上、アスカの中に新しい命が芽生えた場合、ミサトにも対処のしようがなかった。

「本当に何も無かったんですからね!!」

逆切れしたシンジは朝食の準備の為に台所に入っていった。ミサトはシンジの後ろ姿を見ると、何故か安心を覚えた。

 

「何でシンジ起こしてくれなかったのよ~」

朝食が出来上がるとシンジは自分の部屋に寝ているアスカを起こした。が、アスカがリビングに入ってくるとミサトの歓迎が待っていたため、アスカはシンジに八つ当たりしていた。

「そんな事言ったって~、あの騒ぎで起きないアスカが悪いんじゃないか~」

あれだけ自分とミサトが騒いでいたのにアスカは夢の中に居た。

「アスカ~、一体どんな夢を見てたのかな~『あん、もっとシンジ~』とか寝言で言っちゃって」(にやり)

 

ぼっ・・

 

アスカの顔が真っ赤に染った。
この頃のアスカは寝ても覚めてもシンジ、シンジでシンジの事以外全くと言って良いほど考えていなかったからだ。それもすべて先の戦いの時の麗子の助言にあった。

『アスカちゃん、私とキョウコが手伝ってあげる。これはシンジの乗る初号機じゃ出来ない。
女の子、いや一人の男を愛した女が乗る二号機にしかできないのよ。
だからアスカちゃん、思い描いてシンジのすべてを受け入れる所を・・・』

確かにあの助言でシンジやアスカ、そして本部に残っていたみんなが助かった。
しかし、その助言のお陰でシンジをさらに意識してしまう様になった。
昨日の夜は夢に魘されて荒く息を繰り返すシンジを見て助けたい一心だった。だがしかし、夢の中でシンジが出てきた事を考えると否定は出来なかった。

「まあ今回は二人を信用して見なかった事にするわ。
けど、次からそう言う事が起こった時は無理矢理にでも私を起こして。そしたら三人一緒でリビングにでも寝ましょ」

保護者らしい妥当案を出すと二人は大人しく頷いた。

 

「そっ、そう言えばアスカ、次の使徒が来る前にやったシンクロテストって、僕がアスカのシンクロ率を初めて抜いたテストだったんだよね」

学校に向かう途中、シンジはためらいがちにアスカに言う。

「そうよ。私あの時はすっごくシンジに対して自分でも考えられない・・・・ううん、あの頃の私は、シンジに抜かれて凄く嫌な気分だったわ。
けど、シンジがあの使徒の中に閉じこめられた時、自分の気持ちに初めて気が付いたの。
シンジの存在が私の心の中をどれだけ占めていたか、私はどれだけシンジに頼ってきたかってね」

昨日の夜の事を思い出し、すべてシンジに話す事に改めて決めたアスカがあの時の自分の気持ちを素直に話す。

「だから、あの時から私は生まれ変わるんだって決めたの。私の前でいつも微笑んでくれる人の為にね」

隣を歩くシンジに向かってウインクをする。

「ご、ゴメン・・・・」

「全く~、そうやってすぐに謝るところなんてあの頃と全く変わってないんだから」

そう言いながらも、アスカは嬉しそうにシンジに腕を絡めた。

「けど、そんなシンジが私は好きなのよ♪」

二人は腕を組んだまま、学校へと向かう。途中レイやカヲルと合流してもアスカはシンジと絡めた腕を離そうとはしなかった。

 

 

それは前の戦いの時と同じようにいきなり現れた。

「遅いわよ」

ミサトが司令室に現れた時にはリツコやオペレーター達が、忙しく現れたそれを分析していた。

「遅れてゴメン、どうなってるの!富士の電波観測所は?」

「感知してません。直上にいきなり現れました」

「パターン・・・オレンジ!ATフィールド反応なし」

「どういう事?」

「MAGIは判断を保留しています」

ミサトに淀みなく答えるオペレーター達、ミサトは爪を噛んで「これがあの二人の言っていた虚空空間を作り出す使徒だと言うの?」と思いながらも、

「こんな時に碇司令も居ないのよね・・・」

司令席にさえ座っていないネルフ最高司令官を思いぼやきをこぼしてしまった。

 

第参新東京市にある一つのビル・・・・・その屋上にたたずむ一つの影。その影は使徒とおぼしき球体の物体を見つめる。

「前の時はユイが目覚めたから大丈夫だった。今回はアスカちゃん自身が自分の力に目覚めたわ。今回も大丈夫よね二人共・・・」

使徒を見つめる目には、安心感と信頼の光が灯っていた。

 

「はい・・・」

アスカが手を上げる。

「何、アスカ?」

「今回の使徒に限っては私が絶対に先行するわ。他の3人には後方支援って事にして欲しいの」

いつものアスカらしくない言葉だった。

いつもなら

 

「はいは~い、今回は私が先行するわ!後の3人には後方支援って事で宜しく♪」

 

と、半分ピクニックにでも行くように使徒を殲滅する事を考えている筈だが、今回のアスカの顔に浮かんでいる表情は、何とも言えない悲しみとも決意とも思える表情だった。

「アスカ・・・」

隣に立っているアスカの横顔を見て、シンジが呼ぶ。

「今回の使徒は私に任せて、シンジは後方から私を見ていて・・・」

強いアスカの決意に負けて、シンジは頷いた。

それを見たミサトはアスカに再確認し、アスカが頷くのを見ると、一瞬にして決意した。

「分かったわ。今回はアスカが先攻、シンジ君とレイが中間、そしてカヲル君が後方支援をお願い」

ミサトの命令に四人は頷いた。

特にアスカは・・・

 

 

「今回の使徒には私が絶対に勝たなくちゃ行けないの!
シンジを救ってあげるにはそれしかないの。
だからママ、私に手助けして」

エントリープラグ内で念じる様に呟くアスカ、その祈りは弐号機にそして、その中に眠るキョウコへの言葉だった。

ミサトからの通信が入った。

「良いアスカ?使徒は空中に浮いている奴みたいだから、シンジ君とレイに中距離砲撃を掛けてもらって、その後一気に接近して倒して!わかった?」

ミサトの言葉にアスカは首を横に振る。

「ミサト、あの使徒は空中に浮いている奴が本体じゃないの。あの下に直径680M、厚さ3ナノMの中のディラックの海と言われている虚空空間の中に居るわ」

「えっ?そんなの聞いていないわよ!」

「だって、言ってないんだもの。けど、必ず私が倒すから安心して見ていて。
それと、私がどうなっても絶対にシンジやレイを使徒に近づけさせないで。お願いよミサト」

ミサトはモニターに移るアスカの顔に真剣さと、祈り、そして、たった一人の男を愛する女としての心を感じ取り、頷き

「分かったわ。けど、アスカ自身が無理をしないで・・・アスカにもしもの事があったら私やいいえ、シンジ君はどうなるか分からないから・・・」

「それは分かっているわ。けど、今回のこの使徒だけは私が倒さなくちゃいけないの・・・・・未来の為・・・私の為・・・・そして、シンジの為にも!」

「そこまで決意が固いのなら、分かったわ。今回はアスカ、貴方が使徒を倒しなさい。初号機には何時でもシンクロカット出来る様にしておくから」

ミサトの言葉にアスカは笑顔を向けると通信を切った。

通信を切る寸前の笑顔を見たミサトは、アスカとシンジ・・・二人が誰にも入る事の出来ないほど強い絆で結ばれている事に再度気付かされ、マヤにいつでも初号機のシンクロカット出来る様に指示をだした。

アスカの言葉を信じる為に・・・

 

「私は、シンジが好き。大好き。だから、この身がどうなろうともシンジを救ってみせる。絶対に、絶対に・・・行くわよ、アスカ!!」

外部電源を外すと、一気にビルの屋上へと駆け上り、空中に浮いている使徒の真下、本体があると思われる部分に向けて飛び込んだ。

「アスカ~!!」

その動きを少し離れた場所から見ていたシンジが叫ぶ。

アスカは通信を切っている為にシンジの言葉は聞こえない。だが、心の中ではシンジの叫びが聞こえた。

「大丈夫よ、シンジ。私が救ってあげるから」

両手をかざし、弐号機から虚空空間を広げようとした瞬間!

使徒の本体が一気に680Mまで広がり、空中に浮かんでいる影と本体の間に黒い空間を作りだした。

「えっ?なに?」

同じ特性を持つ虚空空間同士をぶつけて、使徒の本体を引きずりだして殲滅と考えていたアスカは、自分の、弐号機の周りに展開されたディラックの海に驚いた。

そして、弐号機はディラックの海に消えた・・・

 

「アスカ、今助けに行くから。絶対に助けるから・・・母さんお願い!」

虚空空間の中にいきなり消えた弐号機を見て、初号機の外部電源を切り離すと、使徒の元に走らせる。

そのシンジの動きを見たミサトは、すぐさまマヤに命令を出した。

「初号機のシンクロをカットして、早く!!」

「は、はい!」

ミサトの命令にマヤが素早く指をキーボードの上に走らせる。

そして、Enterキーを押す・・・・

「だ、駄目です初号機信号を受け付けません」

「じゃあ、初号機の電源を早く落として!!」

「それも駄目です。今の初号機は想定出力以上の電源で動いています!」

マヤの言葉にピクッとするリツコ。

「S2機関・・・・・すでに彼女は目覚めているの・・・」

科学者としてではなく、女として呟いた。

 

「シンジ・・・・どうしてもあの中に入るの?」

エントリープラグ内にいきなり現れた麗子

「はい、僕はアスカを守るって決めましたから」

「けど、シンジは一度あの中に入っているから、もう一度入ると精神汚染を受けるわよ。それでも行くの?」

「はい、この身がどうなろうともアスカは絶対に救い出して見せます。それが僕の決めた誓いだから・・・絶対に破っちゃいけない誓いだからです」

使徒に向かって初号機を全力で走らせる中、シンジは答えた。

「そう、分かったわ。私が救ってあげれれば良いんだけど、あの中に私が入ると精神体だから霧散するわ。だから、一つだけ言っておくわ。アスカちゃんを思い描きなさい。そうすれば初号機がアスカちゃんの所に導いてくれる筈よ」

「分かりました。アスカの事を思えば良いんですね」

「そう、アスカちゃんの事を思い描きなさい」

それだけ、言うとプラグ内から姿を消した。

「今行くよ。アスカ!」

目の前に迫った虚空空間に臆する事無く飛び込んだ。

 

「失敗しちゃった・・・・シンジ・・・私じゃシンジは救えないの?」

虚空空間の中に漂いながら膝を抱え込む。

「ミサトにお願いしてあるし、シンジは来ないわよね・・・」

ピッ

「しばらくしたら現存するN2爆弾を投下するのね・・・」

「シンジは参加しないと思うから、レイとカヲルに期待するしかないか・・・」

「最後にシンジの笑顔が見たかったな・・・」

 

ゴツッ

 

「な、何?」

その時通信が入った。

 

 

使徒の展開した虚空空間の中に入った初号機

「私と一つになりたいの?それは凄く凄く気持ち良いことなのよ」

シンジの心の中にまた夢の中で聞いた声が聞こえた。

「そんなんじゃない!僕が、僕が絶対にアスカを助けるんだ!!

「私と一つになりたいの?それは凄く凄く気持ち良いことなのよ」

「それだったら、あの時選択している。僕が目指したのは、好きな人達と一緒に笑顔で暮らす事だ!!!」

シンジの心の中に響いていた言葉を否定したシンジは、アスカの事を考えた。

 

「そうよ。一人で寝るとおかしな夢を見るんでしょ。だ・か・ら、私が一緒に寝てあげる・・」

嬉しそうにちょっと微笑んでいるアスカ・・・

「うにゅ♪シンジ~」

自分の事を夢でまで思ってくれているアスカ・・・

「何でシンジ起こしてくれなかったのよ~」

頬を紅色にそめて、ちょっと膨れ顔のアスカ・・・

「今回の使徒は私に任せて、シンジは後方から私を見ていて・・・」

自分の事を助けてくれようとする真剣なアスカ・・・

そう思っていると突如、前方に弐号機の影が見えた。

この空間に距離の概念は無い。

シンジのアスカに対する思いの強さが初号機を弐号機、いや、アスカの元に導いたのだ。

 

通信を開くシンジ、モニターにはSoundOnlyの文字が浮かび上がった。

「アスカ、大丈夫?」

「シンジ?シンジなの?」

自分が閉じこめられた空間にシンジが居ることに驚きの声が上がった。

「うん、アスカを助けに来たんだ」

「な、何で・・・?ミサトに言っておいたのに・・・・」

「今の初号機に命令は聞かないよ。だって、母さんにお願いしたから・・・・アスカを絶対に助けるんだ!ってお願いしたから・・・」

「バカ・・・・・」

何も写らないモニターから聞こえたアスカの声に微笑んだ。

「うん、僕はバカシンジだよ。アスカの為ならいくらでもバカになるって決めたんだ」

「うっ・・・ぐすっ、ホントにバカよ・・・・」

「さあ、アスカここから出よう。二人の絶対力を使えば簡単だよ」

明らかに泣いているアスカに、シンジは優しく言った。

「ぐすっ、う、うん・・・」

二機のエヴァから何か強い力が発生した・・・・・

 

時間にして1時間程度であろう・・・

使徒をモニターしていたマヤから緊急に報告が入る。

「すべてのメーターが振り切られています」

「まさかあの二人が・・・ありえない・・・・いいえ、あの二人なら・・・」

リツコの声に呼応したように、二機のエヴァが空中に浮いている使徒を引き裂いて出てきた。

「あ、あれがエヴァの力・・・・」

「なんてものを、なんてものをコピーしたの。私達は・・・」

「エヴァがただの第壱使徒のコピーじなんかじゃないのは分かる。けど、あの力は二人が引き出しているの・・・」

驚愕している人々・・・

二機のエヴァはお互いを支え合いながら立っていた。

零号機と参号機がシンジ達を迎えに行く中・・・・

 

 

使徒殲滅から数日後・・・・シンジが夢に魘される事は無くなった。

「う、う~ん・・・・・・」

毎晩続く、熱帯夜にシンジは寝苦しくなり、真夜中に目が覚めた。

「・・・・・・・・・・・・?」

シンジの横でもぞもぞと動いている黒い影・・・・

「・・・・・・・・・・・・・??」

「う、う~ん、シンジ~・・・」

「も、もしかして・・・・アスカ!!」

驚きの声を上げ、壁際に一気に後ずさる。

「な、なんでアスカがここに寝てるんだ!!?」

「うにゅ?シンジ・・・」

シンジのちょっと大きな声に、眠い目をこすりながら起きあがる

「ど、どうしてここにアスカが寝てるの!?」

「だってシンジの側に寝てるの気持ち良いんだもん」

「け、けど、ミサトさんに見つかったらまた怒られるよ」

先日の事が頭から離れない。あれだけ言われたのにまた同じ事をしたら絶対に別々に暮らさなくてはいけなくなると思った。

「大丈夫!ばれたらばれたで此処から出て二人で暮らすだけだもん」

全然ミサトの言葉を気にしないアスカに頭を抱える。

「ねえ、アスカ~、お願いだから自分の部屋に戻ってよ~」

「い~や、シンジの隣が私の寝場所だもん。はいシンジ、寝て寝て♪」

シンジを横にするように促すと、自分も横になった。

シンジは深くため息を吐き出すと横になりアスカの方を向いた。

「今日だけだからね。明日からはちゃんと自分の部屋で寝るんだよ」

「うん♪」

ぎゅっとシンジに抱きつく。

「だからシンジって大好き♪」

「わ、わ、ちょっとアスカ~、離れてよ~」

「や~だ♪」

 

次の日、また二人が一緒に寝ている所をミサトに見られたのはお約束。

そんな日がいつまで続くか分からないが、みんな今を一生懸命生きていた。

 

 

つづく


後書き

お久しぶりになりますね。

前のお話から、3ヶ月・・・・お待ち頂いていた方々、本当に申し訳ありません。

DtEに関して絶好調にスランプ状態に陥っていました。

書いても書いても納得出来ず、20回くらい書き直したのですけど、出来たのがこんなお話・・・

これじゃ、しょうがないですね。

けど、スランプな僕にとってこれが精一杯なのです。

次はもっと早く投稿予定です。

 

感想、苦情とかありましたらもきゅうまでメ-ル下さい。お願いします。

でわ

 


待ってました…待ってましたぜずーっと!ってな感じでお久しぶりに登場の、もきゅうさんの連載SS「Dream to Eva」第八話でしたっ!
いやもう本当に続き待ってましたよ(w 久々にGehenでもきゅうさんの作品が読めて、嬉しい嬉しいっす!

さて今回は……おお、何やらシリアスっぽい雰囲気から始まりましたね。
シンジの葛藤と絶叫……うう、本編っぽい。もきゅうさんのこの作品はラブラブシリアスハッピーが最高なのに、ちょっと嫌な予感が…(^^;
あ、でもちょっと読み進めると大安心ですね。添い寝で「うにゅ♪」ですか…。
Yeahhhhhhhhh! 最高!(w やっぱりこうでなきゃ、うんうん。
そしてお話は原作通り使徒レリエルが襲来。
シンジを想ったアスカがピンチに陥りますが、そこはシンジとアスカの愛の「絶対力」で無事使徒を撃破!
うんうん、やっぱいいですね「DtE」は!

作者のきゅうさんへ作品のご感想を!
上記まで是非お願い致します(^o^

もきゅうさんはスランプとか後書きで書いてますが、いえいえすっごく面白かったですよ~!
第九話も思いっきり期待しています! 頑張ってくださいね!!