第弐話 心、交わして(前編)

『いきなり弐号機の前に現れたナギガタ、アレはいったい何処から出て来たのかしら。それにアスカの予言、あの二人何か隠しているわね』

ミサトは何かを感じながら二人を見ていた。

 

もぐもぐもぐ

「やっぱりシンジの作ってくれるハンバーグは美味しいわね」

にこにこ顔のアスカ、シンジはそんなアスカをうれしそうな恥ずかしそうな顔をしながらみる。

此処はコンフォートマンションのミサトの部屋。何故アスカが此処に居るのか?

 

二時間前

使徒を殲滅した後、トウジ、ケンスケと別れ、ミサト、シンジ、アスカはネルフに来ていた。

バンッ

「どうして私がシンジと一緒に暮らしちゃいけないのよ」

机を強く叩くとアスカはミサトに噛みついた、ミサトは

「どうしてってアスカ、シンジ君とあなたは男と女なのよ。昔から言うでしょ”男女七歳にして同衾せず”って」

年頃の男の子と女の子を一緒に暮らさせるなんて、読者が許しても私が許さないわと思っているミサト。そんなミサトにアスカは

「そんな諺なんてこの間までドイツに居た私には、なんの事だか解らないわ」

アスカはしらっと言う。そんなアスカを見たシンジは笑いを堪え

『あの諺を最初にいったの、アスカだったのに』

笑いを堪えているシンジを見て、アスカはちょっと困った顔をすると

「シンジ、あんた男でしょ。何とかしなさいよ」

笑うのをやめ、アスカがホントに困ったときだけに、みせる顔(シンジにだけ)を見たシンジは、ミサトの方を向くと

「ミサトさん、ミサトさんは作戦部長になったんですよね」

「ええ、そうよ」

「それじゃ、ミサトさんとしてもパイロットはガードしやすい所に置いていた方がいいんじゃないんですか?」

「それはそうだけど・・・アスカには、もう部屋も用意しちゃったし」

「僕の時だって部屋は用意してあったのにミサトさんは保護者になってくれたじゃないですか」

それを言われるとねと思っているミサトにシンジは追い打ちを懸ける。

「ミサトさんはホントは心優しい人だから、日本に一人で来て寂しい思いをしているアスカを、放ってはおけないでしょうしね」

眩しい笑顔を見せるシンジ、その顔を見て、そこまで言われちゃしょうがないとミサトは言う。

「分かった、分かったわ。アスカも家に来て良いわよ」

「ありがと、ミサト」

とお礼を言う。そんなアスカを見たミサトは

『あのアスカがお礼を言うなんて』

と思ったが

「じゃあ私からリツコには言っておくから先に帰って良いわよ。あっそれと帰ったら聞きたいことがあるから」

ということで現時刻に戻る。

 

普段のシンジならばアスカが家に来た記念と題してちょっとしたご馳走を作るのだが、アスカは今まで一緒に暮らしていたように接してほしい、と言う言葉に納得し、普段通り?アスカの大好きなハンバーグを作る。シンジのハンバーグを久しぶりに食べれて、にこにこ顔のアスカ、シンジはそんなアスカをうれしそうな顔で見る。

「あ~美味しかった。シンジご馳走様」

「アスカにそう言って貰えると嬉しいよ」

シンジは食べ終わった茶碗を片づける。シンクに洗い物を置き、食後のお茶をアスカに出す。

「はい、アスカ」

「ん、ありがと」

その後しばらく二人は黙ったまま時を過ごした。

不意にアスカが沈黙を破る。

「ねえ、シンジ」

「うん、何アスカ」

「ミサトが帰ってきたら聞きたいことがあるって、言ってたじゃない」

アスカは湯飲み茶碗を手の中でくるくる回しながら言う。シンジもアスカに目を向ける。

「うん」

「それってあの力の事かな、それとも私達の事かな」

「う~ん、そうだね。ミサトさんの事だから両方じゃないかな」

「そっか、そうよね。なんたってあのミサトだものね」

妙に納得しているアスカ。

「ねえ、アスカ。ミサトさんにサードインパクトまでの事、全部話そうよ」

「えっ」

シンジの言ったことに驚いたアスカはシンジを見る。シンジもアスカに向いたまま

「ミサトさんなら分かってくれると思うんだ」

「うん」

「じゃあ、僕から話すよ」

「分かったわ」

そこまで言うとアスカは急に

「けど、シンジ」

「何?」

「あの力の事だけは黙っておきましょ」

アスカの言っている意味が解らない。ミサトにはすべてを話すつもりだったシンジは、ちょっと驚いてアスカを見る。

「なんで?」

「だって、あの力はママ達が私達にくれた物でしょ、他の人の物じゃないわ。それにミサトにその事を教えるとあの力でお酒を出して、とか言いそうだもの」

シンジはミサトがえびちゅ、えびちゅと言っている所を思い浮かべた。そうするとシンジの座っている椅子の後ろにえびちゅが10ダース以上現れた。二人は現れたビールを見ると苦笑すると

「もしかして、シンジ、ビールを思い浮かべたでしょ」

「アスカこそ」

「けど、この力は私達の物、私達が使う時を決めましょう」

「そうだね。この力の事がばれたらリツコさんに実験台にされちゃいそうだしね」

二人は笑い合う。笑い終わるとシンジはビールの山を見て

「けどアスカ、このビールどうしよう?」

「そんなのミサトが2~3日で飲んじゃうでしょ」

「それもそうだね」

二人は相談し終わると、アスカはリビングでテレビを見る、シンジは晩御飯の片づけをしている・・ハズだった。がシンジが皿を洗っている時、アスカが不意に台所に入ってきた。

「あれ、アスカどうしたの?」

「ちょっと手伝いに来たの。だってあのドラマ、前に見ちゃったもん」

「そうなんだ、それじゃ洗った皿を拭いてくれるかな?」

「うん」

シンジの手伝いが出来て嬉しいアスカ、そんなアスカを見てシンジは微笑みながら皿を洗う。

すべて洗い終わり拭き終えた時にミサトが帰ってきた。

「ただいま~」

「「おかえり(なさい)」」

「あ~お腹減った。シンちゃん晩御飯、何かある?」

「はい、そう言うと思ってちゃんと用意して置きましたよ」

シンジの言葉にちょっと意外な顔をしたミサト。

「そ、そう、今日はシンちゃん使徒と戦って疲れていたから、てっきり店屋物を取ってるのかなって思ってたから嬉しいわ、ってうわ~!何これ~!な、なんで、こ、こ、こんなにえびちゅが~

リビングに入った途端、二人が先ほど出したビールに、目を輝かせ、ビールの山に向かって走り、抱えこむミサト。

「ふっふっふ、これは私の物ね、誰にもあげないわ。・・・アスカ駄目!近寄らないで!これは私の物、あなたにもあげないリツコにも加持君にも、ふっふっふ」

シンジの作った、ミサト用のハンバーグを持ってアスカがリビングに入り、テーブルに置こうとすると、ミサトはアスカを威嚇する。

「そんなのいらないわよ!」

まだ、私の物、私の物とか言っているミサトに、ハンバーグを置くとアスカも呆れ顔で言う。

 

「あ~美味しかった。何時もありがと、シンジ君」

ハンバーグをつまみに先ほどのえびちゅを飲みまくるミサト。

「いえ、僕が好きでやっていることですから」

「けどどうしたのシンジ君?いつもは3本までとか言っているのに、それにこの量」

ミサトは山と積まれたえびちゅを見る。

シンジは今日に限って何も言わない。そんなシンジとその隣で座っているアスカの顔を見てにや~と笑うと

「そうか、今日はアスカが家に来たんだものね。二人とも好き好きとか言っちゃって・・・うそ!」

からかえばシンジは兎も角、アスカは絶対ムキになって反論してくると思っていたミサト。二人はミサトのからかいを聞いて見つめ合うとぽっと顔を赤くしていた。

「も、もしかして、二人って行くとこまでいっちゃったの」

その言葉に反応したのは、やはりアスカだった。シンジは顔を赤くしたまま下を向いていた。

「そんなことないわよ!シンジは私の事大切に思ってくれてんだから。やーね三十路過ぎのひがみは」

三十路という言葉にぴくっと眉を動かすミサト。シンジは何かやばい何かを感じて、顔を上げるとそこには鬼が居た。

「こんなビア樽女誰が、貰ってくれるのかしら~」

気がつかないアスカ、シンジにはミサトの後ろに青い炎がメラメラ燃えているのが見えた。

「ちょ、ちょ、ちょっとアスカ、それは言い過ぎだよ」

非常に怖いミサトを見て、アスカを止める。アスカはそんなシンジにも、ましてやミサトに気づくはずも無く、さらに言う。

「自分が結婚出来ないからって、私達の事をからかうなんてバッカみたい」

その時ミサトの後ろの炎が弾けた。

ア~ス~カ!!!

地獄のそこから聞こえて来るようなドスの利いた声に、アスカはやりすぎた~と思いシンジの後ろに素早く隠れた。その時シンジは、母さん、今から会いに行くよなんて考えていた。

 

そんな楽しい家族の団欒?が終わりミサトが真面目な顔で二人にテーブルにつくように言う。シンジとアスカはミサトに言われた通り、並んで椅子に座った。ミサトはえびちゅを10本は飲んでいたが、まったく酔っていない。

「ちょっと二人に聞きたい事があるんだけど」

「何ですか?」

シンジが答える。

「昼間の事なんだけど」

「はい」

「何で二人はお互いを知っているのかしら?」

「それは・・・ミサトさん、僕たちの話をちゃんと聞いて貰えますか」

ミサトから目を逸らさずにいるシンジにミサトは、こんなシンジ君見たこと無いわと思いながら

「分かったわ、ちゃんと聞くから話してみて」

「はい」

その後シンジとアスカは今まで(これから)の出来事を語った。アスカとの出会い、使徒との戦い、SEELEエヴァとの戦い、そしてサードインパクトの事、ミサトはそんな話を信じられないと思いながらも、よどみなく話すがつらそうな顔のシンジの姿を見て、すべてが本当に起こったのだと確信した。

 

「そう、サードインパクトは起こってしまったの」

あまりに衝撃的なシンジの告白にミサトも項垂れながらぼそりと言う。

「そうです。僕がいけないんです。僕がアスカを助けたい一心で・・・サードインパクトを・・・」

自分を責め、拳を握りしめるシンジ、アスカはそんなシンジの手をそっと包み込むと

「ううん、シンジが悪いんじゃないわ。SEELEが悪いのよ」

すべてが溶けている世界の中でアスカとシンジはゲンドウが行おうとしていた補完計画の全貌や、SEELEの補完計画などが自分の中に情報として入ってきて、すべてを理解してはいたが、シンジはサードインパクトを起こしたのは自分だから、すべて自分のせいだと思っていた。アスカにはそんなシンジの心情がよく理解出来た。だからSEELEに責任を押しつける事によって、シンジの心を少しでも軽くしてあげたかった。アスカのそんな優しさに触れたシンジはアスカに無理はしながらも笑顔を向けお礼を言う。

「アスカ、ありがとう」

項垂れていたミサトは不意に

「そう言えば二人ともどうやって此処に来たの?」

ミサトは疑問を口にする。シンジはアスカの手を握り返し、ミサトを見ると

「解りません、もしかしたらエヴァのお陰かも知れません」

演技の出来ないシンジは、アスカの顔を見る。アスカが頷くとシンジも頷き返し、ミサトに顔を見られないように下を向いて言う。ミサトもさっきの事でシンジが落ち込んでいると勘違いし、そんなシンジの態度に疑問を持たなかった。

「どういう事?」

ミサトにアスカが答える。

「エヴァの中にはシンジや私のママの魂が封じ込められているの」

アスカは、悲しそうな顔をして言う。

「えっ、それって」

「そう、エヴァはロボットじゃ無いわ。エヴァが普通のロボットとの決定的な違い、それは人の魂が封じ込められているかどうかなのよ。だから、シンジや私がピンチの時には、ママ達が助けてくれるの・・暴走って形でね。シンジや私はサードインパクトのあと後悔したわ、もう一回やり直せたらって。そうしたらいきなり足下に穴が開いて、そこに私達落ちたの、で私はドイツにシンジは日本に居たわけよ。今回の事もママ達が私達の願いを叶えてくれたのかも・・・」

アスカの説明に改めて驚きの顔を隠せないミサト。しかし手を握り合うその姿を見たミサトは納得した、シンジとアスカが、すでに互いを支え合うパートナーになっている事を。

 

ミサトはまだ聞きたいことがあったが、もう午前0時を過ぎた言うこともあり、二人は昼間の疲れからか、眠そうにしてるのを見ると、聞きたいことは又にして、寝ることにした。

が一つ問題があった。アスカの部屋が無い。

「シンジ君、アスカ何処に寝て貰おうか?」

「そうですね」

二人は考えている。アスカはにやりと笑うと

「そんなの私はシンジと一緒の部屋でいいわよ」

アスカの意見に猛反対したミサト。

「そんなの絶対に駄目!年頃の二人を一つの部屋で寝せるなんてとんでもない。そうだアスカ、私の部屋で一緒に寝ましょう」

ミサトの意見にアスカは首を激しく横に振ると

「ぜっっっっっっったいにいや。あんな汚いミサトの部屋で寝るくらいなら、ベランダで寝た方がマシよ」

自分たちの意見を絶対に変えようとしない二人、何やら考え中だったシンジは二人に

「ミサトさん、アスカ、リビングに布団を敷いて三人で寝ましょう」

シンジの意見を聞くと二人は睨み合いをやめて、シンジを見る。

「そ、そうねシンジ君、私も今、それを言おうとしてたとこよ」

「うそばっかり、全然そんなこと考えてもいなかった癖に」

呆れ顔のアスカ、そうと決まるとシンジは自分の部屋に入り、自分のそして、アスカの布団を持って帰ってきた。ミサトも自分の部屋から布団を持って来て、リビングに敷く。

 

二人は昼間の使徒戦で心底疲れていたので、布団に入るとすぐに寝息を立て始める。ミサトは布団に入ってもなかなか眠れず、シンジやアスカの言っていた事を考えていた。

『シンジ君やアスカの言った事は本当に起こるの?けど二人が未来から来たのならば、最悪の事態を避ける為に行動するはずよね。なら私は二人のやることを、精一杯サポートすれば良いわけね。お父さん、二人を助ける事で私の復讐は終わるわよね』

ミサトもやっとアルコールが効いてきたのか、眠りにつくことが出来た。

 

つづく


後書き

どうもこんにちわ、もきゅうです。

第弐話は前後編に分けました。(だって話が続かないんだもん)

前半はアスカがどうして葛城家に来たかと言う話で、後半はお待ちかね?ユニゾンな話です。

ユニゾンな話を期待してくださっていた方、申し訳ありません。すぐに書きますので、もうちょっと待っていて下さい。

 

感想、苦情とかありましたらもきゅうまでメ-ル下さい。お願いします。

でわ


もきゅうさんの連載SS「Dream to Eva」の第弐話の前編でした~! お疲れさまです。
早速第弐話のお目見えですね(^o^

第壱話で再び出会い、無事使徒を撃退したシンジとアスカ。
そして今回のベースは本編「瞬間、心、重ねて」。という事は……やっぱり同居シーンからですね。ミサトの命令じゃなく、シンジとアスカが同居を決めてますが(笑)
ミサトが「男女七歳にして同衾せず」とアスカに言ってるのが可笑しいですね(笑)
しかしそれにしても葛城家でのシンXアスはラブラブ!
ってそりゃそうですよね、心が通い合ってこの世界に戻ってきた2人なんですもん。
ギャグも上手く入れたミサト、シンジ、アスカの交流も非常にグッドです。とても面白かったですよ~(^o^

ハイペースで作品をお届けするもきゅうさんへ作品のご感想を!
上記まで是非お願い致します(^o^

後編はいよいよ使徒襲来ですね。
ユニゾン特訓、そして使徒との戦闘シーンなどすごーく楽しみです!!
頑張ってくださいね、もきゅうさん(^o^