NEON GENESIS EVANGELION
ANOTHER STORY
SAVE THE LOVE !!
VOL.6 ~裏切りの宴~
written by とみゅー
ドイツ、マンハイム。
NERV第三支部の幹部が経営しているホテルで今夜はパーティが行われていた。
地元の財界人や権力者を招待しての晩餐会。
ドイツでは強大な力を誇るNERV。
そのバックボーンを得ようと、様々な思惑を持った人間が様々な思惑で集まってくる。
『...そこには真実や誠実はない....あるのは嘘と虚構だけ...』
何とかして取り入ろうとする卑屈な笑み。
自分が想いを寄せる存在がかつて自分によく見せた表情...
急激な不快感に襲われ、アスカは手にしていたワイングラスから、自分の体内にワインを注ぎ込んだ。
『だから...イヤなのよ...パーティーって...居場所ないし...』
エスコートする筈のゲルハルトはハンスに呼ばれ、政財界の名士と呼ばれる人々と談笑を始めていた。
『...退屈だわ...』
暇を持て余したアスカはバルコニーへ出た。
「どうしたんだい。アスカ?ずっと黙り込んで....」
アスカの様子に隣へ来たゲルハルトは怪訝そうに尋ねた。
「...ちょっと悪酔いしただけよ。」
「そう...」
ゲルハルトはアスカの肩をそっと抱き寄せた。
「今日のアスカは、一段と美しい...」
「ありがと...」
アスカは特段、ゲルハルトの手を振り払うでもなく、そのままの姿勢をとりつづけていた。
「疲れたんだろう...部屋で休めば良い...」
「そうさせて貰うわ。」
ゲルハルトのエスコートでアスカは、自分の部屋へと向った。
「ここで...いいわ...ありがと...」
ドアの前に立ったアスカはゲルハルトに礼を言って、部屋に入ろうとした。
そのアスカの白く細い腕を、ゲルハルトは掴んだ。
「アスカ...ちょっと、時間をくれないか...大事な話があるんだ。」
「何?」
「ヘル・シンジ・イカリのことだ...」
シンジの話と言われ、アスカの身体がピクッと反応した。
「シンジが...どうしたの!?」
「大変な事になった...」
深刻な表情のゲルハルトから、手渡される新聞...
怪訝な顔をしたアスカの表情が瞬時に凍りついた...
「う、嘘よ.......だって...」
「君の気持ちは判る....でも、事実なんだ!」
《世界を破滅から守った英雄...事故死!!》
新聞を持つ手が震え、立っていられなくなる...
シンジ死亡を伝える記事の活字が、余所の世界の出来事のように伝えていた。
断崖に激突して炎上したらしく、黒焦げの車体...
丸枠のように載せられているシンジの顔写真...
そんな...
嘘よ....
だって.....
信じてるもの.....
シンジが、あたしを迎えに来てくれるの......
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「落ち着くんだ!アスカ!!」
「いやっ!いやっ!!シンジッ!!」
ゲルハルトは、やや慌てながら暴れるアスカの身体を押さえつけた。
だがその時、優しく押さえつけているはずのゲルハルトの瞳が冷酷な光を放った....
『すべては...シナリオ通りに...』
アスカは錯乱し、その手を振り払おうとした。
「いやっ!離してっ!!」
ドサッ!
そして二人は、もつれ合ったまま、床に倒れこんだ。
「ん....」
アスカは突如唇を塞がれた。
彼女の蒼い瞳が見開いた。
「....!!.....」
そこに居るのは只の男だった...
ビリッ!!!
アスカの紅いドレスが胸元から引き裂かれた。
『犯される...!?』
そう自覚したとき、彼女は悲鳴をあげた...
「いやぁ!!」
アスカは目の前の事態に対応不能になっていた。
想い人...シンジ...の死...
信頼するパートナー...ゲルハルト...の裏切り...
ただ、逃げ出したかった...
この地獄から...
だが、ゲルハルトはアスカへの身体の愛撫を止める事はなく、アスカのドレスを乱暴に剥ぎ取っていく。
テーブルを掴んで立ちあがろうともがくアスカ...
その足を掴んで、引き寄せるゲルハルト...
テーブルが倒れ、フルーツのバスケットと、果物ナイフが床に散らばる...
アスカの目に飛び込むシンジの顔写真...
アスカのペンダントを引き千切り、中を開くゲルハルト...
この時、ゲルハルトはその本性を剥き出しにした。
「こんな東洋のサルなんかより、私の遺伝子を受け入れろ!!」
圧倒的な力の差...
障害物の排除の成功...
そして、これからが真の目的であった...
セカンドチルドレンの精神破壊...
「フッ...サード...見てるが良い...お前の最も大切なものをこれから汚して恥辱に塗れさせてやる...」
アスカに見せるように、ゲルハルトはシンジの写真を見せた。
「いやぁ!!!シンジィッ!!!助けてぇ!!!!」
アスカは生まれて初めて助けを求めた....
だが、それは室内に空しく響くだけであった...
アスカの長い髪を撫で、その髪に口付けしようとするゲルハルト...
アスカは、パッと自分の髪を彼の手から引き抜いた。
「やめてぇ...!触らないでッ!!」
「フン!!」
ゲルハルトは、アスカの輝く髪を踏みつけ踏みにじった。
「見るが良いサード!!...いい気味だ!!この私を差し置いて、“英雄”だと?選ばれし純粋なアーリア人でない者が“英雄”?....不純な劣等民族の分際で“適格者”?...ふざけるな!!」
ゲルハルトは大きく叫び、アスカを一瞥した。
「お前は我々の“人形”なんだよ...黙って言うことを聞いてればいいんだ...この“雑種”が!!」
アスカの髪を踏みつけながら、ブラジャーを強引に剥ぎ取った。
「きゃぁぁぁぁ!!」
ゲルハルトはブラジャーを投げ捨てると、アスカの乳房を鷲掴みにし、口に含もうとした...
その時、アスカが即座にゲルハルトの急所を蹴り上げた。
「ぐぅ....っ!!!」
股間に鈍痛が走り、蹲るゲルハルト...
アスカは下着姿のまま、外へと飛び出した...
屋上に逃げ込んだアスカは、一人蹲った。
『シンジ....アタシ...また汚された.........』
ユラリと立ちあがり、夢遊病の患者のようにフラフラと手摺に向うアスカ...
その瞳は輝きを失っていた...
そして、手に握られて居るのは果物ナイフ...
『ねぇ....こんなアタシでも...シンジの所へ行ったら抱きしめてくれる...?』
アスカはナイフを左手首に当てて、スーッと引いた。
脈打つ毎に、噴き出す鮮血...
アスカはそれを黙って見つめた...
『シンジ....あんたの所へ行くね....待ってて.....
シンジには.............寂しい........思い...........させない.........から...
...だから....アタシを.....
....シンジの...
.....お......
.....よ..........
.....め..................
.....さ............................
.....ん..............................................』
アスカの意識はそこで途切れた......
『早まった事を................』
意識の無いアスカの身体を、一人の男が抱き上げる...
《俺だ...女性エージェントを二人...ポイントCへ回してくれ....それから、輸血用の血液を大至急...ああ、セカンドのものだ....》
男は、彼女の身体を抱えたまま、闇の中へと消えて行った....
セカンドチルドレンロストの報告は、直ぐにNERVドイツ支部に報告された...
「フッ....全ては計画通りだ....セカンドを捕獲しろ....」
ハンスは、静かに口を開いた。
「はい....叔父上.....」
金髪の男...ゲルハルト・メックリンガー...は不気味な笑みを浮かべていた....
発令所ではマコトとシゲル、そして新たに入った洞木コダマがMAGIシステムの調整を行っていた。
今、三人の中ではマコトがリーダー格になって、次々と処理を行っていた。
「な、こうすればいいのさ。」
「えー。そうなんですかぁ?」
「コダマちゃんは入ったばっかりだからな。少しずつ覚えて行けばいいよ。」
「はい。でも、あたしなんかで本当に大丈夫でしょうか?」
不安げなコダマ。
コダマは今松代にいるヒカリの姉である。
「心配ないよ。コダマちゃんは飲み込みが早いし、それに我々にはこの「赤木ノート」がある。
これが見付かったおかげで、僕らはMAGIを復旧させることが出来た。しばらくは安泰だよ。」
マコトが自信を持って、言い放った。
その一段上から、三人の様子を見おろす冬月とミサト。
「司令。今回の事件を機に、こちらから仕掛けては如何でしょう。」
「うむ。私もそれを考えていた....敵が次に狙うのは、十中八九、このMAGIシステムだ。先ず、引き渡しを要求というところか...敵は我々が切り札を失い動揺してると思いこんでるはずだ。敵も油断があるから、ここにつけ込む隙を見つければ或いは....」
冬月もミサトもドイツ支部を既に『敵』と呼称していた。
「司令・副司令!!」
冬月とミサトは声のする方へ振り返る。
二人の前に立つ人影に、ミサトは窘めた。
「碇二尉!!今のあなたの任務は寝てることなの。判るでしょ!?」
「はい、ですが小官は司令に先日の回答をしておりません!」
その人影の持ち主....シンジ.....の顔は真剣であった。
左目は眼帯を付け...右腕は包帯を巻きつけ...た、シンジの姿は満身創痍であった。
「少しだけよ。」
ミサトは冬月の前にシンジを連れていった。
シンジは冬月に敬礼する。
「冬月司令。小官は本作戦に志願いたします!」
「....うむ。許可する.....」
「ありがとうございます。」
「いや、礼を言わねばならないのはこちらの方だ....よく決心してくれた......ありがとう。」
シンジは少し照れた。
「じゃ、碇二尉。病室に戻って頂戴。」
ミサトに促され、シンジは病室へと戻っていった。
1999-5/6作成
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どうも、こんにちは! VOL.6をお届けしました。
当SSは、シリアスLASストーリーです。
わぁ!モノを投げないで下さい!!
この話で多くのLAS人を敵に回したかも...
でも、今が夜明け前なんです。
次回はシンジの反撃が開始されます。
それでは、またお会いしましょう。